山本周五郎著 「雨の山吹」
(新潮文庫)
孤児となって葛西家に引き取られ、実子のように育てられた妹が旅先で自殺した。遺体は発見されなかったが、遺品を見つけ病死として葬儀を済ませた。ところが数年後、妹が生きているらしいことを聞きつけ、兄は遠国まで追って行ったが・・−「雨の山吹」他「暗がりの乙松」「喧嘩主従」「彩虹」「恋の伝七郎」「山茶花帖」「半之助祝言」「いしが奢る」「花咲かぬリラの話」「四年間」計10編収録
突然、遺書を送って来た妹。遺品を見つけた兄は深い悲しみと怒りを感じながら骨壷に入れて持ち帰りました。そしてやっと悲しみから逃れ、日常に戻った頃になって今度は、妹が生きて目撃されることに・・。
武家としては、一度死んだとした者が生きている・・なんてことは許されるはずもなく、しかも家来と駆け落ちしたとなると一大事なので、斬って捨てるつもりで追いかけますが・・。
結末はあたたかく、読み終わっても優しい気持ちが続く感じになります。
「山茶花帖」は、芸者と若い侍の愛の話。芸者と侍は絶対に結ばれない・・というくらいその障害は大きいものでした。でも芸者は侍への気持ちを捨てずに黙って読み書きなど学んで待ちました。これも素敵な結末です。
「いしが奢る」は、偶然出会った娘と侍が運命に翻弄されながらも結ばれていく話。偶然の出会いと思われていたのが実は、計画されていたものだった・・と知った侍はそれでも娘を想い、信じ続けます。
山本周五郎の作品の感想を書く度に、自分の文章力の無さを痛感します・・

本当はとても良い話ばかりなんですよ。ぜひ読んでみて下さい。
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引き続き「卒業」
結構あっさりした作品です。