池波正太郎著 「鬼平犯科帳3」
体調を崩している平蔵の治療のため役宅に出入りする指圧の名手・中村宗仙に、最近怪しい動きがある。山田同心は偶然、宗仙と浪人者が会っている所を見て、密かに調べ始めた−「麻布ねずみ坂」他「盗方秘伝」「艶婦の毒」「兇剣」「駿州・宇津谷峠」「むかしの男」の6話収録
前作の終わりに平蔵は高熱を出し、その後もあまり体調が良くないまま今回の話に進んでいます。
今回活躍を見せた山田同心は、子どもがたくさんいて、しかも病気をしていたりして安い給料では生活が苦しい状態でした。実は不純な動機(やっかみと羨ましさの混ざったような)で宗仙の屋敷の前にたたずんでいたわけですが・・。
そんな山田同心の気持ちを聞かなくても察した平蔵は、罪の意識を告白しようとした山田を止め、黙って見舞金を差し出します。そういう気遣いがさりげなくできる上司だからこそ、部下たちも命がけでついていこう!と思えるのでしょうね。
「盗方伝授」は、京都へ旅することになった平蔵が偶然出会った老盗に見込まれ、弟子にされそうになる話。病気は回復したのですが、働き詰めの平蔵を休ませようという心使いから幕府は「解任する」と言い渡します。そこで、京都へ旅することにした平蔵なのですが・・。
「艶婦の毒」は、平蔵のお供をさせられた同心・木村忠吾が出会ってのめり込んでしまった女の話。題名からわかるように、とても毒の強い怪しい女性です。
「兇剣」では、鬼平の暗殺計画をたてた盗賊に殺されかけます。親友の岸井左馬之助に助けられて何とか生き延びることができました。
その左馬之助は幼馴染の一人に偶然出会います−「駿州・宇津谷峠」実は裏の世界に身を置くその幼馴染、人殺しまでやっています。
「むかしの男」では、平蔵の妻・久栄のむかしの恋人が出てきます。娘・お順をさらわれたり、平蔵が留守の間に大事件に発展・・。でも与力・佐嶋が機転を利かせてうまく解決していきます。
今回は、平蔵だけではなく、数多くいる部下たちの活躍も見られ、また違った楽しさがありました。
<鬼平犯科帳>
「鬼平犯科帳1」
「鬼平犯科帳2」
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引き続き「二度のお別れ」
もうすぐ読み終わります。