池波正太郎著 「鬼平犯科帳2」
(文春文庫)
その日、鬼平こと長谷川平蔵は剣友の岸井左馬之助を見舞った帰りに見かけた蕎麦屋へふらっと立ち寄った。そこで見かけた客の目が気になり、後を付けるが撒かれてしまう。その男の正体は蛇(くちなわ)の平十郎という盗賊で、以前から平蔵の暗殺を企んでは失敗していた。−「蛇の眼」他「谷中・いろは茶屋」「女掏摸お富」「妖盗葵小僧」「密偵」「お雪の乳房」「埋蔵金千両」の計7編収録
偶然、見かけた客の目が気になるというだけで、特に怪しい点はなくても追いかけてみる・・こういう直感に似た捜査でかなりの功績をあげている鬼平。
蛇の平十郎は、押し入った先の人たちを皆殺しにする冷血な盗賊です。そういう盗賊に対しては容赦なく切り捨ててしまう平蔵に上役は「やりすぎだ」と言いますが、鼻で笑うような強い意志をもって役目をこなしています。
「女掏摸お富」は、元スリの女の話。スリの素性を隠して結婚し、所帯をもっていたお富が、元の仲間に見つかってしまいゆすられて仕方なく、スリを働くことに・・。
「密偵」は、元盗賊で今は火盗改方の密偵をしている弥市の話。元盗賊ということで、盗賊時代の仲間には恨まれ、火盗改方には義理があり・・と、間で揺れ動くことになってしまいます。
平蔵が見せる、非情さと優しさにホロッとするそんな短編集です。
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引き続き「未練」
読みやすく、面白いです。