乃南アサ著 「凍える牙」
(新潮文庫)
初めて読む作家さんです。以前から気になっていたのですが、今回ふと手に取ったので読むことにしました。
深夜のファミレスで男の体が突然炎上する事件が起きた。死亡した被害者の体に獣に咬まれた傷跡が残っていた。捜査本部で指示されコンビを組むことになった機動捜査隊の音道貴子と中年刑事の滝沢は、いがみ合いながらも捜査を始める。やがて、同じ獣に咬まれて死亡するという事件が連続して発生する。
初めて読むとは思えないくらいスムーズに話に入っていくことができました。主人公が女性というのも読みやすい原因かもしれません。
女性警官ということで、相棒となった中年おじさん刑事には嫌われるのですが、それに対して必死で食らいつこうとするところが共感できました


家族構成も私と重なる部分が多かったので余計に共感できたのかも・・。
犬(普通の犬ではありませんが)を使った殺人ということで、読んでいて何だか悲しくなりました。犬が苦手な私でも犬がかわいそうで仕方なくなりました。この犬は特別なので、本人(本犬?)はこれで満足だったのかもしれませんけど・・←それがまた泣ける・・

普段よく読む本よりページ数が多くて少し時間がかかりましたが、面白く読めました

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香月日輪著「妖怪アパートの幽雅な日常1」
どうなっていくのか?まだまだ読み始めです。でも短い話なのですぐ読み終わりそう。
私がこのシリーズで感心してしまうのは、
作者が女性だからだと思うのですが、
音道貴子の私生活がリアルに描かれて
いるところです。
私は犬好きなので、この小説の疾風でしたっけ?
がえさを食べないで頑張ってたところが
一番印象的で泣けました。
犬の疾風・・。最後が本当に可哀そうでした・・。私も同じ所で泣いてしまいました。
私がかつて読んだ作品についての感想が数多く書かれていますので、ワクワクしながら読んでいます。
今回、感想を書かれている「凍える牙」について、コメントしたいと思います。
この乃南アサさんの「凍える牙」は、その他の強力な候補を破り、第115回直木賞を受賞した作品ですね。
30代で離婚歴のある音道貴子。
離婚の原因は夫の浮気。そして、今回彼女と一緒に組むことになったのは、かつて女房に逃げられた経験のある中年刑事の滝沢。
男社会の中で認められずに孤軍奮闘する女刑事と、女刑事の存在を認めたくない叩き上げの頑固者の刑事の構図ですね。
この2人が、渋々ながらも一緒に捜査活動を続けるうちに、徐々にお互いを認め合っていくことに-----というのは、言ってみればありがちなパターンなのですが、しかし、なかなか読ませてくれますね。
しかし、滝沢の愛想がないのは、実際には貴子のことが嫌いというよりも、どう扱っていいのか分からないからではないでしょうか。
そして面倒くさいからというのもあるのでしょう。
そして、貴子の方も決して自分の弱みを見せようとはせず、だからといって頑張っている姿を主張したくもないという頑固さから、必要以上に愛想がありません。
女刑事としては、柴田よしきさんの「RIKO」シリーズに登場する緑子の方が迫力があると思うのですが、この貴子の無表情な感じもいいですね。
この物語では、貴子と滝沢の視点が交互に描かれ、この2人が実は似たもの同士だったということが、次第に分かってきます。
無理に相手のことを理解しようとはせず、単なる傷のなめあいの関係にはならないところがいいですね。
ただ、事件の方は、時限発火装置と犬の咬傷の両面から捜査されることになるのですが、これがどうも中途半端な印象を受けました。
せっかくの時限発火装置という設定が生かしきれていないような気がします。
貴子と疾風のシーンがとてもいいのですから、初めから時限発火装置など使わず、そちらに的を絞った方が良かったのではないかと思いました。
それにしても、貴子と疾風の魂の触れ合いの描写には、思わず目頭が熱くなりました。
こちらにもコメントありがとうございます。
このシリーズはお気に入りで、早く続きを書いてくれないか?と待っているのですがなかなか出ませんね。
「凍える牙」は乃南さんにはまったきっかけの作品なので、思い入れも強いです。とはいえ、事件についてはあまり覚えていないのですが。女刑事で頑張っているけど肩に力が入りすぎていない貴子が好感もてました。RIKOは共感できる部分も少ないですし、女を武器にしがちなのですが、貴子は頑張り方が好ましいです。
私のつたない感想をたくさん読んでいただき、ありがとうございました。