山本周五郎著 「やぶからし」
(新潮文庫)
夫が実家に勘当されてしまった嫁は、その後も嫁ぎ先で暮らしていくことを決める。やがて再婚し、子どもも生まれ幸せな生活を送る娘の元へ前夫が表れ、金を要求する。自分一人で対処しようとする娘がとった行動は・・・−「やぶからし」他「入婿十万両」「抜打ち獅子兵衛」「蕗問答」「笠折半九朗」「避けぬ三左」「鉢の木」「孫七とずんど」「菊屋敷」「山だち問答」「こいそと竹四郎」「ばちあたり」計12編収録
「やぶからし」というのは草の名前で、周りの植物を全て枯らしてしまう草なので、生えてきたのを見かけるとすぐに抜いてしまわれる草です。「藪をも枯らしてしまう植物」ということで「やぶからし」と言います。前夫は自分のことを「やぶからし」に例えて、自分を卑下しています。
この夫に嫁いだ娘は、両親が居ないため、舅や姑のことを本当の親だと思って慕います。夫が勘当された後、婿を迎えて幸せに暮らします。
舅や姑を悲しませないために一人で前夫にお金を払いますが、最後に金額が増えたため、家族を捨てる覚悟を決めます。
「菊屋敷」は、美しい妹に振り回された姉の話。美しい妹が居るために、自分の容姿を比較してしまい、自信がもてない姉。自由奔放な妹に人生を振り回されてしまうのですが、最後には自分の人生を振り返り満足します。
「入婿十万両」は、財政難に陥っていた京極家の内情を調べ、借金を返すために何をすれば良いか、解決策を出すために武家に婿に入った商家の男の話。元商家の息子ということで、城内でもいじめられ、家庭内でもプライドの高い嫁に嫌われ、肩身の狭い立場になります。でも最後には鮮やかな解決策を出すことで見直されます。
この本は、愛情というよりも、人生観のような物が書かれていて、感動もありますが、考えさせられるような作品が多いです。
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