山本周五郎著 「月の松山」
(新潮文庫)
余命3ヶ月と宣告された宗城孝也は、それを誰にも告げず1人で抱えて生きることを決めた。自分を醜く装うことで、婚約者や自分が継ぐはずだった道場の安泰と幸福をはかろうとする−「月の松山」他「お美津簪」「羅刹」「松林蝙也」「荒法師」「初蕾」「壱両千両」「追いついた夢」「おたは嫌いだ」「失恋第六番」の計10編収録
余命3ヶ月と知って、誰にも打ち明けずに生きる・・すごい精神力だと思います。しかも、後に残される人たちのために自ら悪者になろうとする。簡単にできることではありません。
道場の弟子に対してもかなり厳しい稽古をつけ、婚約者には冷たい態度をとる。みんなが不思議に思って聞いても冷たく言い返して理由を言わない。最後には、1人で全てを背負って決闘にのぞみ、討たれてしまいます。
「おれが自分を醜くすれば、あとが美しく纏まる。あの人(婚約者)の気持ちにはもうおれは残っていないだろう」と言って亡くなります。それを聞かされた弟子は「それはひどい、あんまりだそれは」と言います。
死んでいく者も残される者もどちらも本当に辛い結果・・・。そして、あまりにも辛い生き方です。
今回も涙無しでは読めませんでした。あまり笑う話は無く、今回はしんみり、考えさせられる話が多かったです。
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