2026年06月23日

高田郁「星の教室」

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 高田郁 著
 「星の教室」
 (ハルキ文庫)


主人公の潤間さやかは、中学の卒業証書を受け取っていない。義務教育さえまともに終えていないという枷が、社会でも家庭内でも、さやかを生き辛くさせていた。しかし、ある日、さやかは夜間中学という存在を知る。それは、戦争や貧しさや病など、さまざまな事情で義務教育を終えられなかった大人たちの集う学校だった。二十歳の春、さやかは河堀夜間中学への入学を果たす。仲間たちに支えられて過ごす日々が、学校や親への不信で雁字搦めだったさやかの心を解きほぐしていく。やがて、さやかには密かに叶えたい、という夢が芽生え始めるのだが……。−裏表紙より−


お気に入りの作家さんですが、時代小説でないのは久しぶりに読みました。

作家さんご本人が書きたかったという作品で、思い入れがたっぷり感じられました。


夜間中学が舞台になっているのですが、私はそういう学校があることを知りませんでした。夜間の学校は高校からだとばかり思っていたのでまずそこで驚きました。

主人公のさやかは中学の頃に壮絶ないじめを受けて不登校になりました。そのまま卒業式にも出席せず、卒業証書も受け取らないまま20歳になりました。

ただ、義務教育さえも終えていないので、履歴書にも学歴が書けずまともな就職先がないままでした。バイトをしながら実家で暮らしているのですが、両親とも中学時代に無理矢理学校に行かされそうになったことでうまくいっていません。

将来に不安がたくさんある状況の中、偶然見つけた夜間中学の存在。でもどうやって入学すればいいのか、また「学校」という場所に踏み入れることへの不安もありなかなか入学できずにいたのですが、気にはなって何度も柵の外から眺めていました。


夜間中学に通う学生から声を掛けられたことで無事に入学でき、授業が始まります。学生は年配の人が多く、さやかのような若者は事情があって学生時代には中学に通えなかった人がいました。

年配の人のほとんどは字が読めず書けない状態でした。「あ・お・ぞ・ら」という言葉を一生懸命音読し、繰り返し書いている姿が描かれていました。


今の日本で、字が書けない読めない人がいることにまず驚きました。よく考えればそうですよね、戦争中に学生だった人はまともに学校に通えていないのが当たり前でしょうし、ある程度の年齢になったら字を覚えることよりも働くことを考えるのは当然です。

後々習えれば良かったのでしょうが、本人たちも「字が読めない、書けない」というのを公言するのは難しいようで、周囲にも黙っている人がほとんどだそうです。

仕事も定年退職して時間が出来てから改めて「字を習いたい」と夜間中学に入学しているそうです。自分が学生の頃は勉強することが面白くなくて、授業は聞いているふりをしながらほとんど別のことを考えたり、とにかく時間が過ぎるのを待っていたりしていたのですが、彼らは勉強することに誇りをもっていて、知識が増えることに対して大きな喜びを感じています。

自分が得た知識は誰にも奪えない。・・確かにそうですよね。そういう風に考えて勉強したことがないので反省しきりです。


年配の学生たちの壮絶な人生も描かれていて、何度も泣きそうになりました。戦争中の出来事は特に辛かったです。ほんと、戦争って何のためにやるんでしょう。良いことは1つもないのに。決めるのは政治家の偉い人、でも犠牲になるのは一般庶民。納得いきません。



さやかのように不登校になった人はもちろん、年配の人たちにとって重要な存在になっている夜間中学。もっと存在を世間も知るべきだと思いました。

数もまだまだ少ないようです。もっと増えたら良いと思います。

でも夜間中学に通うのではなく、普通の中学にきちんと通えるような環境になるのが一番だとは思いますが、色んな事情があって大人になって学びたいという気持ちは大事にして学べる場を作るのも大事ですね。


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posted by DONA at 14:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書:その他
この記事へのコメント
すごく考えさせられる内容でしたよね。
学べることがこんなに幸せなことなんだと
実感しました。
私も夜間中学があることすら知りませんでした。
とってもいい物語を読ませてもらえました。
Posted by チャウ子 at 2026年06月23日 18:05
>チャウ子さん

学べることが幸せなことだと気づかされましたが、もっと早く気づきたかった〜。今からでも間に合うでしょうが、自分で動かなくても学べる期間にもっときちんと学ぶべきだったと後悔しました。
どれだけ「くだらない勉強」と思って拒否してきたことか!
今の学生さんに読んでもらいたいです。
Posted by DONA at 2026年07月01日 12:26
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