今野敏 著
「雨水 東京湾臨海署安積班」
(ハルキ文庫)
外国人同士が揉めているという通報があり、安積たちが現場に駆けつけると、複数の外国人が罵声を上げて揉み合っていた。 相手を刺して怪我を負わせた一人を確保し送検するも、彼らの対立はこれでは終わらなかった・・(「略奪」)。 おなじみの安積班メンバーに加え、国際犯罪対策課、水上安全課、盗犯係など、それぞれの警察官の矜持が光る傑作短編集。(単行本『夏空 東京湾臨海署安積班』を文庫化に際し改題しました)−裏表紙より−
「目線」「会食」「志望」「過失」「雨水」「成敗」「夏雲」「世代」「当直」「略奪」の10編収録
「雨水」とは二十四節気の2番目だそうで、立春→雨水→啓蟄・・と続きます。雪が雨に変わるという意味で、冬が去るのを実感する季節のことだそうです。大体2月半ば頃のようですが、イメージとしてはもっと遅い時期では?と思ってしまいますね。
短編だと物足りなさもありますが、色んな部署の警察官が関わってきたり、上下関係や新聞記者との関わりなども読めるので面白いです。
冒頭、安積班長が「須田と水野が揉めている」「須田が課長から叱られていた」という噂話を耳に入れます。すぐにでも問い質したいところですが、2人とも捜査に出ていて不在で聞けません。
気にしているうちに事件が発生し、出動することに。海での事件だということで、船を出してもらい乗って行くことになった安積。海から見るお台場の景色は、地上から見るのとは雰囲気が違って見えました。
その経験から、いつもと違う目線で見ることの大切さを知り、須田や水野にもその話をします。彼らが揉めていることは、どちらの気持ちもわかるので、それぞれ相手の目線で考えてみることの大切さを説いたわけです。
いつもながら良い上司ですね。
次の「会食」では署長のスキャンダルにも成りかねないことを、副署長と共に解決していきますが、ここでは安積自身も良い上司に恵まれていることを知ることが出来ます。
安積が信頼できる人だからこそ周りにもそういう良い人たちが集まるのでしょうね。羨ましくなりました。
他の話でも、色んな部署のエキスパートたちと捜査をしたり、協力し合ったりして解決していく安積班。始めは嫌な奴かもしれないと思った相手も、気づいたら良い奴だった、というパターンが心地よかったです。
もちろん、安積の同期・速水も登場しますし、良い味を出してくれています。
続きも楽しみです。文庫化はまだ先でしょうが、楽しみに待ちます。
<安積班シリーズ>
「二重標的」
「虚構の殺人者」
「硝子の殺人者」
「警視庁神南署」
「神南署安積班」
「残照」
「陽炎」
「最前線」
「半夏生」
「花水木」
「夕暴雨」
「烈日」
「晩夏」
「捜査組曲」
「潮流」
「道標」
「炎天夢」
「暮鐘」
「秋麗」
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