
椹野道流 著
「時をかける眼鏡 宰相殿下と学びの家」
(集英社文庫)
マーキス島を脅かした疫病の流行は、遊馬たちの活躍でどうにか食い止められた。しかし人智を超えた災難に対し、自国があまりに小さく無防備であると痛感した国王ロデリックは国の行く末を案じ、「民の教育」についての夢を遊馬に語る。疫病で封鎖された集落で、遊馬たちが行った授業の評判が良かったことに触れ、「再度彼の地に赴き学び舎を造れ」と命ずるのだが!?−裏表紙より−
シリーズ9作目です。
前作でいよいよ観光のスタートか?と思っていたのですが、そう簡単にはいかず。というかその話は置いておいて・・という状態。
復興のための資金を集めることも大事ですが、国として人々が学ぶことはもっと大事ではないかと考えた国王。国の将来のことを考えたら、少しでも勉強ができた方が良いアイディアが浮かびますし、確かに大事なことです。
そこで、子どもたちに学ぶ機会を与えるため、学校を造ることにしたわけですが、まずは前作で疫病を食い止めた集落でやってみるようにとアスマに命じます。
アスマが教えるわけにはいかないので、教師を選んで連れて行きます。ただこの教師が問題でした。
教師が問題というか、この世界の認識が問題なわけですが。
彼女は子どもの頃に起きた事件で、その集落の中で唯一生き残った子どもでした。私からすれば「運が良い子ども」とか「親が命がけで守った大事な子ども」だとかいう認識にしかなりませんが、この世界ではなぜか「ノロワレ」と呼ばれ、忌み嫌われます。
悪の手によって生き残されたに違いないというわけです。つまり、悪の世界に好かれた子ども。
そういう考えになるのか・・と唖然としました。
その点について、彼女を見ただけでわかるようなことではないので黙っておけばいいのに「教師として正直でいたい」という彼女の希望により、集落の人たちに告白してしまいます。
そうなると関わりたくなくなるわけで、大事な子どもたちを学校に通わせるわけにはいかない、となり、いきなり授業がままならない状態になりました。
これはなかなか根深くて大変だ・・と思っていたら、このシリーズらしく意外とあっさりと解決するので良かったですけど、そんなに簡単に考えが変わるかな?とちょっと納得はいかない感じでした。
でもそこにひっかかっていたら最後にもっと大きな出来事が!
それについては書かずにおきますが、え〜!?まさか! 状態でした。
どうなっていくんだろう・・・かなり気になります。
早く続きが読みたいです。
<時をかける眼鏡>
「医学生と、王の死の謎」
「新王と謎の暗殺者」
「眼鏡の帰還と姫王子の結婚」
「王の覚悟と女神の狗」
「華燭の典と妖精の涙」
「王の決意と家臣の初恋」
「兄弟と運命の杯」
「魔術師の金言と眼鏡の決意」
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