2024年12月27日

西條奈加「首取物語」

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 西條奈加 著
 「首取物語」
 (徳間文庫)


少年は空腹に耐えかね、目の前にいた男の握り飯を奪い、追いかけられていた。その行為が何度も繰り返されていることに気づくが、抗えない。ある時、首だけで生きている男と出会う。彼は少年と同じく過去の記憶を無くしていた。侍だったということ以外は。記憶を取り戻すべく、旅をする二人だが、不思議な事態に見舞われて・・。二人の過去に何があったのか?旅の果てに待つのは?過去の罪が引き起こす愛おしくも哀しい物語。−裏表紙より−


よく見たら表紙の絵がなかなかグロいですね・・

でも話の内容としてはこれが正解です。こういう状態を想像しないで読んだら、内容はそこまでグロくなくて読みやすいです。

どちらかというとほっこりと優しい雰囲気といえるかもしれません。少年の口調が強いし汚いので、殺伐とした雰囲気も流れますが、全体的に優しさは常にあります。


始まりから、お腹がすいている少年が、知らない男が持っている握り飯を奪って食べてしまうという不穏な展開。当然追いかけられるので逃げるのですが、気づけばまた同じような場所で同じ男が握り飯を持っていて、その時には少年はお腹が空いています。

結局何度も同じことを繰り返していることに気づくのですが、どうやってもそのループから逃れられません。しかも、少年はそれ以前の記憶がありません。

彼はどういう人生を歩んで、こんな場所に迷い込んでいるのか?と思っていたら、次に登場するのが首だけの男。

生首状態で道に転がっている男、というだけでホラーでしかないですが、普通にしゃべりますし色々と考えて少年にも語り掛けます。口調などから元は侍なのだろうとは思えますが、こちらも記憶を無くしています。


そんな記憶喪失な2人が旅をすることになるのですが、その様子が表紙絵の状態なわけです。

生首を風呂敷で包んで持ち歩く!なかなか怖い状態ですが、少年は気にせず持ち歩いています。重いしうるさいし、と文句は言いますが、孤独だった旅に道連れが出来たことを喜んでいるようです。


2人が旅で出会う人たちの話が描かれ、その度に、生きるとはどういうことなのか、正義を貫くとはどういうことなのか、を考えさせられました。

最後の話では2人の過去が明かされていくわけですが、読むのが辛い場面もたくさんありました。こんな状態になっているのですから、まともに生きて来たとは思っていませんでしたがそれにしても・・。


最後はハッピーエンドといえるのか?微妙ではありますが、私的にはとりあえず「良かったね」と思えました。
今後の彼らがどうなっていくのか? 未来はどうなのか?はかなり心配ではありますけどね。


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posted by DONA at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:西條奈加
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