2024年11月08日

西條奈加「婿どの相逢席」

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 西條奈加 著
 「婿どの相逢席」
 (幻冬舎文庫)


小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、大店の仕出屋『逢見屋』の跡取り娘・お千瀬と恋仲になり、晴れて婿入り。だが祝言の翌日、大女将から思いもよらない話を聞される・・。与えられた境遇を受け入れ、陰に陽に稼業を支える鈴之助。”婿どの”の秘めた矜持とひたむきな家族愛は、やがて遭見屋に奇跡を呼び起こす。直木賞作家、渾身の傑作人情譚!−裏表紙より−


お気に入りの作家さんなので読みやすかったです。

鈴之助の柔らかくて人当たりの良いキャラクターが素敵で、ある意味空気を読めない感じも羨ましくて、ずっと優しい空気が流れていると思えたのは彼の存在のお陰かと。


この時代に女性ばかりで店を切り盛りするのは大変なことだと思います。でも、なぜ女性が継ぐことになったのか?を知ると激しく納得してしまいます。確かに女性が店を切り盛りする苦労を上回りそうです。

この店の男性はただひたすら「旦那」として存在し、跡取り娘を産ませるだけが仕事であり、存在意義です。

つまり店に出ることはなく、奥にいてやることもなくぼんやり日々を送っていくのみ。

働かなくて食べていけるなんて、すごく素敵じゃん!と思える人もいるでしょうが、きっと人は誰かに頼られないと生きていけないものなんだろうと思うので、「何もしなくていい」と言われるとものすごく虚しくなるものなのでしょうね。

お陰で義父は本当に抜け殻のような、何も考えていないような雰囲気の人でした。でもまあそれは後々変わってはくるのですが。


鈴之助は「何もするな」と言われても黙っていられないタチだったので、あれこれ口を出したり、行動を起こしたり、何となく忙しく日々を過ごしています。鈴之助の場合は妻であるお千瀬が頼ってくれるのでかなり救われているのもあります。

義母や大女将、妻の妹たち。4人からの攻撃はなかなかのものですが、持ち前の明るさで乗り切る鈴之助が素敵でした。


女性だけでは難しい経営面や周りからの嫌がらせ、客の問題など、様々な事件というか出来事があるので、鈴之助も活躍していきます。彼の人柄の良さで解決することも多々あり、ちょっと辛い話も明るく終わってくれました。


これはシリーズ化しても良さそうですがどうかな? 大きな問題は片付いた感もあるので微妙ではありますが、店で巻き起こる様々な出来事を解決していく物語として続けられそうでもあります。

楽しみに待とうかな。



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posted by DONA at 14:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書:西條奈加
この記事へのコメント
このお話すごくよかったです。
鈴之助のキャラもお千瀬も素敵でした。
私もシリーズ化希望です!
Posted by チャウ子 at 2024年11月08日 23:24
>チャウ子さん
そうですよね!夫婦の姿が素敵でしたし、はじめは生意気だった妹もかわいく思えました。シリーズ化してくれたらいいですね。
Posted by DONA at 2024年11月25日 14:59
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