2024年08月02日

木内一裕「小麦の法廷」

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 木内一裕 著
 「小麦の法廷」
 (講談社文庫)※電子書籍


杉浦小麦、二十五歳の女性弁護士。初めての担当は、仲間内で起きた傷害事件。罪を認める被疑者との面会を終え拘置所を出た小麦は、大勢のマスコミに囲まれてしまう。「あなたは、殺人犯のアリバイ作りに協力しているんですか!?」彼女が偶然引き受けた国選弁護の仕事が世間を震撼させる大事件へと変貌する。−裏表紙より−


初めましての作家さんでした。似た名前の作家さんがいるので読んだことがあると思い込んでいました。


主人公は新人弁護士の小麦。彼女は、ほとんどの人がやっているイソ弁をすることなく、いきなり1人で仕事を始めていました。1人だと自由に動けますし、自分で仕事を選べるので便利ではありますが、イソ弁と違って自分で仕事を取ってきて収入を得ないといけないので苦労も多いようです。

また新人なので、弁護の仕方などわからないことがあっても相談する相手に困ります。小麦には相談相手がいるのでそこは良かったのですが、後々の展開ではそれも良くないことがわかるので、なんだか・・。


国選弁護人として初めて担当することになった事件がこの話のメインになります。被疑者は罪を認めている傷害事件。一見簡単そうに思える裁判です。罪を認めているので量刑のみを争えばいいはずでした。

ところがその被疑者が実は他の殺人事件の容疑者でもあり、思わぬ展開になっていきます。

読者はこの話の始まりで、彼が殺人事件を起こしたことを知っているので、どうやって決着させるのか気になって次々読み進めてしまいます。


殺人事件が起きたのと同じ時に、別の場所で傷害事件を起こし、罪を認めて逮捕された被疑者。でも本当は殺人事件を起こしています。

一度逮捕送検した被疑者を「誤認逮捕でした」と認めて釈放するのは実はとても難しいです。

殺人事件の方の証拠が、目撃者しかいないというのも問題で、もっとしっかりした証拠があれば良いのでしょうが、目撃証言だけでは被疑者が見た目を変えてしまえば確証がもてませんから。


被疑者は当然、傷害事件で裁かれたいですし、逮捕した警察も送検した検察もそのまま裁判をしていきたい。でも殺人事件を捜査している警察としては彼を無罪にして殺人事件で逮捕送検したい。

小麦は色んな圧力に悩まされることに。


新人弁護士、しかもイソ弁でもない独立した弁護士にはなかなか荷の重い裁判です。

彼女がどうやって決着させていくか?は書きませんが、うまくやったと爽快になりました。


どうやらシリーズ化されそうな雰囲気で終わったので、もし続きが描かれたら読もうと思います。


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タグ:木内一裕
この記事へのコメント
DONAさん、こんにちは。

この本面白そうですね。
興味持ちました。
今度読んでみようと思います(^^)/
Posted by チャウ子 at 2024年08月03日 16:52
>チャウ子さん
コメントありがとうございます。サクッと軽く読めますのでぜひ。終わり方も軽くて良いですよ。重めな本を読んだ後にお勧めです。
Posted by DONA at 2024年08月09日 15:24
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