
今村翔吾 著
「玉麒麟 羽州ぼろ鳶組」
(祥伝社文庫)※電子書籍
侍火消にして府下十傑に数えられる鳥越新之助。新庄の麒麟児と謳われたぼろ鳶組”頭取並は、闇に堕ちたのか?豪商一家惨殺及び火付けの下手人として手配された新之助は、一家の娘を人質に逃亡を続け、火盗改、江戸の全火消の包囲を次々と打ち破っていく。一方、幕府の命で動きを封じられたぼろ鳶組頭取松永源吾は、仲間のため、己のため、決意を胸に立ち上がる。書下ろし長編時代小説。−出版社HPより−
このシリーズ、すっかりはまっています。ただ・・・巻数を書いてほしい! 毎回「次に読むのはどれだ??」と悩まないといけないのがややこしいです。
今回の主役(ヒーロー)は、新之助。普段はヘラヘラ笑っていて、ほとんど怒らず温厚な性格で、頼りない面ばかりが目立つ彼ですが、実は剣の腕は超一流なので、剣が必要な事態になった時はかなり頼れる存在でもあります。
ムードメーカー的な役割もあり、常に笑顔でみんなからいじられる存在。特にお頭である源吾の妻・深雪からは常に厳しく当たられています。でもそれは愛のあるいじりという感じで、2人の掛け合いは微笑ましい場面です。
そんな彼が今回、豪商の一家を惨殺して更には火付けまで行った犯人として江戸中の火消や火盗改などから追われることに。しかも、その家の娘を攫って逃げているという最悪な状況。
いきなり彼が逃げている場面から始まるので驚かされます。もちろん、絶対に何か事情があったのだろうことは読者にはわかりますが、そこからハラハラドキドキの展開が続きます。
仲間たちは彼を助けようと動き出そうとしますが、なぜか軟禁状態にされてしまうぼろ鳶たち。明らかに何らかの大きな力が働いているのがわかります。
動けないぼろ鳶たちに代わって動いてくれたのは長谷川平蔵。ありがたい存在です。そして、他の組の火消たちも新之助がそんなことをするはずがないと信じてしっかり守ってくれます。
真相が明らかになると、なるほど彼らしいという感じで、何だか笑顔になってしまいました。ハメた人物には怒りしかありませんが。
彼の人柄の良さが存分に味わえる作品で、最後まで面白かったです。
<羽州ぼろ鳶組シリーズ>
「火喰鳥」
「夜哭鳥」
「九紋龍」
「鬼煙管」
「菩薩花」
「夢胡蝶」
「狐花火」
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