
椹野道流 著
「最後の晩ごはん 初恋と鮭の包み焼き」
(角川文庫)
芦屋の定食屋「ばんめし屋」で働く、元俳優の五十嵐海里。バイト先のカフェ兼バーで、朗読劇への出演を目指し、演じることに再び向き合うことになるが、作家の淡海が手掛けた登場人物にどうしても感情移入ができない。そこで人の姿になれる眼鏡の付喪神、ロイドとともに、淡海の取材に同行することに。しかしロイドが、淡海の中に存在するはずの、彼の死んだ妹の気配を感じられないと言い出して・・。大人のお料理青春小説第15弾。−裏表紙より−
前作で、作家の淡海が海里に朗読劇用の小説を書いてくれたのですが、練習がなかなかうまくいかず海里は悩んでいます。
お詫びの印という言い方をしていた割には難しい役を書いてくれたので、自分が演じる人物に共感できず苦しみます。真面目に役に取り組むのは良いことですが。
師匠と読み合わせをする度に落ち込む海里。師匠が「全て共感する必要はない」と言うのですが、やはり気持ちがわからないと演じきれないというのもわかる気はします。
気持ちがわからないとセリフをどんな口調で言えば良いのかさえわからないですからね。朗読劇となれば、動きは付けられないのでより大変です。動きでごまかすことさえ出来ませんから。
今回は朗読劇を演じる所が描かれるのかと思ったら、苦しんでいる海里がひたすら描かれて終わり。この調子だと次回も練習だけで終わりそう。
でもまあ、これだけ悩んで頑張っている海里を見られるのも成長の証なので良かったとも思えます。
今回の幽霊さんは、淡海の妹。かなり前に出て来た彼女は、兄の中で存在することにしていました。でもどうやらいなくなったようで。
心配したロイドが妹に話を聞くことに。
事情を聞くと、離れたくなるのもわかります。彼はそろそろ自立した方が良いのでしょうね。
妹さんが離れることでまた彼がどんな人生を歩んでいくのかも楽しみになりました。
前向きなお別れだったので今回は泣かずに終わりました。毎回こうだと良いのですが・・。
<最後の晩ごはん>
「ふるさとだし巻き卵」
「小説家と冷やし中華」
「お兄さんとホットケーキ」
「刑事さんとハンバーグ」
「師匠と弟子のオムライス」
「旧友とおにぎり」
「黒猫とドーナツ」
「忘れた夢とマカロニサラダ」
「海の花火とかき氷」
「聖なる夜のロールキャベツ」
「秘された花とシフォンケーキ」
「閉ざされた瞳とクリームソーダ」
「地下アイドルと筑前煮」
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