
千早茜 著
「しろがねの葉」
(新潮文庫)※電子書籍
戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と秘められた鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は意気阻喪し、庇護者を失ったウメは、欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出された―。繰り返し訪れる愛する者との別れ、それでも彼女は運命に抗い続ける。第168回直木賞受賞作。−出版社HPより−
初めましての作家さんです。読書メーターで献本に当たったので読んでみました。電子書籍が当たったのは良いのですが、いつも使っているアプリと違ったのであわててダウンロードすることになり、焦りました。でもお陰でアプリが2つになったので、いつもの方に無い作品をこっちで探してみることが出来るか?とちょっとワクワク。
読書メーターで年間ランキングで上位入賞しただけあって、読み応え十分な作品でした。大河ドラマを見終えたかのような重量感。
舞台となる場所は石見銀山。ほぼそこから動かないので舞台は変わらないのですが、人物の入れ替わりがあるせいか飽きずに読めます。ただ、舞台が舞台だけに終始暗い場面が続きます。坑道以外の場面が多いのに、ずっとどんより暗い感じ。常に曇り空の薄暗い山の中というイメージがしていました。
主人公はウメという女性。子ども時代から始まる彼女の人生が描かれます。物心ついたころから夜目が効いていて、暗闇の中でもよく見えていました。そういう始まり方をしたので、銀山に辿り着いて拾われた時にはきっと女性でありながら、銀山で頭角を現して・・的な展開になるのだろうと思ってしまいました。
が、素人が考え付くような展開にはなりませんね。
そういうことよりも、ウメが女性として生きていく大変さを噛み締める所が大きなテーマとなっていて、同じ女性としては苦しい場面がありすぎました。
普通の社会で生きていくのも大変なのに、銀山という男性の社会で女性が生きていくのは想像を絶する大変さです。坑道に入るのも許されない存在の女性。子どものころはまだ良いのですが、大人になると全てが変わります。
銀山での女性の役割は、ただひとつ。坑道に入って銀を発掘出来る男子を産むこと。
失礼な話です! それに対してウメは憤りますし、反抗しようとするのですが、どうしても大人の女性になってしまうと抗えなくなるんですよね。
坑道に入れないのだから、せめて夫や息子のことだけでも守りたい、健康で生きて欲しいというただそれだけに生きることになります。それだけでも十分立派な仕事ではあるのですが、何だか報われない感じがあります。
特にウメはせっかく良い才能があるのに勿体ない気もします。
ウメに関わる男性たちの生き様と、ウメの人生。読みながら目を背けたくなる場面もあり、読み終わるとかなり疲れてしまいました。読み応えあったと思うのですが、もう一度読みたいかというと辛過ぎて嫌です。
でもきっとウメは幸せだったのだろうとは思えました。
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