
西條奈加 著
「曲亭の家」
(ハルキ文庫)
横暴な舅、病持ち・癇癪持ちの夫と姑・・修羅の家で見つけたお路の幸せとは?当代一の人気作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。作家の深い業にふり回されながらも己の道を切り開いていく。直木賞受賞後第一作。−裏表紙より−
曲亭(滝沢)馬琴の家に、息子の嫁として嫁いだお路の話です。滝沢馬琴といえば、「南総里見八犬伝」の作者ですね。とか言いつつ、この作品は読んだこと無い気がしますけど。
作家として神経質な舅、嫌味の多い姑に囲まれ、更に助けてくれるべき夫は更に横暴で癇癪持ちと来たら、なぜいつまでも離縁しないのか? そればかりが気になって読み進めたような気がします。
でも物語の始まりは、お路がブチぎれて実家に戻っている所なんですけどね。そのまま別れるのかと思えば、夫が迎えに来て「今度からは癇癪起こさないように気を付ける」と言い、お路は「今度からは我慢せずに言いたいことは言う」と宣言して戻ることになります。
「言いたいことは言う」宣言のお陰で、お路はケンカしても言い返すようになったのですが、そうなると夫はまたキレてしまい、ケンカが今まで以上にヒートアップするばかりです。ただ、子どもが出来たので、その子どもを鎹のようにして2人は夫婦を続けます。
夫による暴力、舅による横暴な態度と発言、姑の嫌味たっぷりな暴言。物語は終始、お路がいじめられているようにしか見えない状態でした。
これはいつか救いがあるのか?と読み進めても、その度に降りかかる不幸な出来事。
子どものためだけにこの家にいる、我慢する意味ってなんだろう? お路の気持ちが理解できないままでした。
この時代は離婚するのも簡単ではありませんし、世間の目も厳しいですし、子どもは夫の家に残すのが当たり前ですし、今のように簡単に別れられないのはわかるのですが。
最後に何となく「良い人生だった」的にまとめられますが、まあ一部分ではそうなのかもしれないですが、どうだろう・・・?
子どもが生まれて育てて、後世に残る偉大な作品に携われたということで、良い人生なのでしょうね。何もないよりは。私的には苦労が大きすぎて見合わない気がしますけど。
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