
伊坂幸太郎 著
「逆ソクラテス」
(集英社文庫)
「敵は、先入観だよ」学力も運動もそこそこの小学6年生の僕は、転校生の安斎から、突然ある作戦を持ちかけられる。カンニングから始まったその計画は、クラスメイトや担任の先生を巻き込んで、予想外の結末を迎える。はたして逆転劇なるか!?表題作ほか、「スロウではない」「非オプティマス」など、世界をひっくり返す無上の全5編を収録。最高の読後感を約束する、第33回柴田錬三郎賞受賞作。−裏表紙より−
「逆ソクラテス」「スロウではない」「非オプマティス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」の5編収録。短編ですが、ちょこっと関連のある人物がいるので連作短編ともいえるかも?
ソクラテス・・・名前はもちろん知っていますし、哲学者だというのもわかりますが、どんな哲学なのか?はよくわかりません。調べてみると、彼の弟子がプラトンだそうですね。これも有名なことなんでしょうか。哲学なんてものは避けるように歩んできましたから、全く知らない状態でこの作品も読みました。
ということで、私がきちんと理解出来ているか?は疑問ですが、内容自体は難しいことではありませんでした。
表題作を始め、ほとんどの物語が小学生中心なので、それもわかりやすい原因だと思いますけど、文章も読みやすいのも良かったです。
表題作では、かなり賢い小学6年生が登場します。あらすじにもありますが「敵は、先入観だよ」という言葉は深くうなずいてしまいました。なんか、小学生に教えられた感じです。
担任にもクラスメイトにもちょっとバカにされている生徒を救うため立ち上がる安斎。安斎は別にその生徒を救おうとしたわけではなく、多分、自分がスッキリしたかったのだろうとは思いますが。
確かに小学生のころだけではなく学生時代はこういうちょっとバカにされるような生徒がいた気がします。もしかして自分もそうだったのかもしれませんし。
存在感がなく、ぼんやりしたタイプの生徒って「多分、勉強は出来ないだろう」「多分、運動は苦手だろう」という先入観を持ってしまうことが多いので、始めからバカにされてしまう。だから実はちょっとテストの点が良かったり、野球のセンスがあったりしたら大きく見直してもらえる、というのです。
その状況を意図的に作り出すために安斎はカンニングさせたり、裏から手を回したりして盛り立てます。
どんな結末になったのか?は読んでもらった方が良いので書きませんが、物悲しいような不思議な気持ちになりました。
「アンスポーツマンライク」から「非ワシントン」は関連が無さそうで、実は関わりがあって、続けて読んだ方が面白いと思います。
この作家さんらしい、一見無関係に見せかけて、最終的にギュッとまとまってくる爽快な物語になっていました。
いつも読み終わった時は色々思う所もありますし、「あ〜、今回も面白かった〜!」としみじみ思うのですが、時間が経つと細かい部分を忘れるという状態に。頭に浮かんだはずの色々な感情がうまく言葉で文章で表現できないというか。
どうしても表面的な感想で終わってしまうのがもどかしい作家さんです。今度は読んだらメモっておこうか?・・・・やらないだろうな。
↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

