
西條奈加 著
「わかれ縁 狸穴屋お始末日記」
(文春文庫)
「もう、嫌だ!」定職にもつかず浮気と借金を繰り返す亭主の元を飛び出した絵乃は、ひょんなことから離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」の手代見習いとなる。そこに舞い込んでくるのは、いずれも家族の情”がこじれた難題ばかり。果たして絵乃は一人前の公事師となり、自身の離縁も成し遂げられるか!?−裏表紙より−
公事宿(くじやど)というのを初めて聞きました。江戸時代にあったそうですが、今の行政書士や弁護士のような役割をしていたそうです。宿と付いていることからわかる通り、裁判の間に泊まらせることもしていたそうです。今も昔も裁判は長引くんですね。
昔は移動にも時間がかかりますし、判決が出るまで泊まる所があるのは助かるでしょう。そこが弁護士事務所だったら、と思うと便利ですよね。
絵乃の夫は、働かない、浮気を繰り返す、借金は作ってくる、という最悪な男。さっさと別れたら良いのに。と思ってしまいますが、そういう男って口がうまいんですよね。だからいちいち腹を立てながらも浮気を赦し、健気に働いて支えてしまう。
心のどこかでは「このままではいけない」と思っていてもどうにもならない状況。そんな時、町で偶然、公事宿の手代・椋郎と出会います。そして公事宿に連れて行かれて話を聞いてもらっているうちに、女将に見込まれて、宿で手代見習いをすることになります。
他の夫婦の問題を目の当たりにしながら、自分たち夫婦のことを解決させようという考えのようです。
離縁するには、きっちりと自分の気持ちにキリをつけないと別れられませんから、女将さんはそれを絵乃にわからせようとしていました。
絵乃は無事に離縁して前に進むことが出来るのか?
絵乃の成長も読んでいて楽しいですし、手代・椋郎との仲も気になりますし、他の登場人物たちの個性的キャラクターも面白いですし、次々読み進められました。
シリーズ化してくれるかな?という期待が膨らんでしまう作品です。いくらでも話は作れそう? 楽しみに待つことにします。
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