
ポール・ギャリコ 著
亀山龍樹 訳
「ミセス・ハリス、パリへ行く」
(角川文庫)※電子書籍
1950年のロンドン。ハリスおばさんはもうすぐ60歳の通いの家政婦。夫を亡くし、質素な生活を送っている。ある日、勤め先の衣装戸棚でふるえるほど美しいクリスチャン・ディオールのドレスに出会う。今まで身なりなど気にしてこなかったが、自分もパリでドレスを仕立てようと決意し、必死でお金をためることに。やがて訪れたパリで、新しい出会い、冒険、そして恋?何歳になっても夢をあきらめない勇気と奇跡の物語。―出版社HPより―
初めましての作家さんです。ネットの感想を読んで面白そうだったので読みました。
確かに面白いんですけど、勝手に想像していた雰囲気と違ったのでなかなか馴染めず。おばさんがパリに行くということは、旅先で何かしら事件が起こって、おばさんが巻き込まれて、類まれなる推理力で華麗に解決する!的な話かと。
ところがいつになっても事件は起きない。まあ小さな事件はたくさん起きますが、事件というより障害とか問題とかそんな感じ。警察が絡んでくるようなことは一切起きません。「ややこしいことになったな〜」というくらいのことなので、盛り上がりに欠ける気がしました。
ではハリスおばさんが可愛らしいおばさんだから魅力的なのか?というとそうでもなく。誰にでも言いたいことを言いますし、口調もなかなかキツイですし(これは訳のせいかもしれませんが)、結構なわがままぶりですし、全く可愛らしさはありません。でもなぜか憎めない・・。
あらすじを改めて読んで驚いたのですが、おばさんはもうすぐ60歳だそうで、ということはまだ59歳ってこと!?70代かと思っていました。それくらいパワフルでどっしりした感じがしました。
通いの家政婦としては大ベテランで、仕事もテキパキと完璧なので、ハリスおばさんから認められないと仕事に来てもらえないという存在。カリスマ家政婦って感じですね。でも金銭的には余裕が無く、朝から晩まで必死で働いても食べて行くのがやっとという状態です。ところが、とある家で見たディオールのドレスに心を奪われてしまい、自分もパリでディオールのドレスを買いたい!と思うようになります。
服にそこまでの思い入れを持ったことがないので、ある意味羨ましくもあります。
ドレスを買うために、パリに行かないといけなくて、その旅費も必要になります。安い給料での生活を更に切り詰め、他にもいろいろな方法でお金を貯めます。よく無事に行けたもんだと感心する状況でしたが、何とかパリに向かうことになりました。
パッと行って、サッと買って帰るつもりが、そうはいかなくなります。そこからが盛り上りなので書きませんが、読みながら苦笑する場面が続きます。
おばさんは無事にドレスが買えるでしょうか??
おばさんが巻き起こす色んな問題の数々。本人も自覚しないことがほとんどなだけに笑えます。近くにはいてほしくないですけど、ちょっと離れてなら見たいかも。
ハリスおばさんの話は何冊か出ているようです。読むかどうかは微妙かな? 気が向いたら読んでみるかもしれません。
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