
西條奈加 著
「芥子の花 金春屋ゴメス」
(新潮文庫)
人が月に住む近未来の日本に、独立を宣言し、鎖国状態の「江戸国」が出現した。上質の阿片が海外に出回り、その産地として日本をはじめ諸外国から槍玉に挙げられた江戸国。老中から探索を命じられた「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守は、阿片を祭祀に使用する異人たちが住む麻衣椰村に目をつけ、辰次郎や松吉に真相の究明を命じるがー。−裏表紙より−
なかなか続きが見つからず、これはもう古本屋でしか見つからないだろうと諦めかけていたのですが、やっと新装版が出版されました。やはり大きな賞を取ると違いますね〜。ありがたいことです。この流れで「はむ・はたる」も新作を書いてもらいたいものです。もちろん、ゴメスシリーズも。
前作を読んだのが2013年。ということは9年前! 細かい部分はすっかり忘れていましたが、近未来の話であること、日本の中に鎖国状態の「江戸」という国があること、奉行の話ということは覚えていました。
近未来でありながら、江戸国は武士がいる昔の世界を作り上げています。江戸時代で止まっているような国なので、科学の進化もない状態。病気になると治療方法を求めて江戸国を出ていく人もいるようです。
題名にあるゴメスというのは奉行のあだ名です。ただ、女性だということは途中まで忘れていたんですけど。前作でも途中で女性だと知って驚いた覚えがあります。
実は人間でもないんじゃないか?と思うほどの容貌と言動なんです。暴力的ですし、酒豪ですし、言葉遣いもなかなか・・。
鎖国状態の江戸国に持ち上がったのは、麻薬の密輸問題。日本や他の国に出回る阿片が、江戸国で作られて密輸されているのではないか?と言われます。捜査に乗り出したゴメスは、とある村に目を付けます。
阿片を祭祀に使用するその村で作られているのではないか?と考えるわけですが、そこから一筋縄ではいかない捜査が始まります。
鎖国状態にある江戸国から持ち出すということは、何か大きな力が働いているのでは?と考えるのが自然です。
捜査を進めるうちにとある過酷な場所が浮上します。部下を潜入させることになったのですが・・・。
結局、過酷な捜査は部下に任せっきりのゴメス。部下の報告を聞いては叱咤激励(いや、叱咤のみ)しています。でも最後の最後には全て持って行くという美味しい役どころでした。
これはまだまだシリーズが進められそうです。ぜひ次も書いてもらいたいと思っています。
<金春屋ゴメスシリーズ>
「金春屋ゴメス」
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