
矢崎存美 著
「ぶたぶたのお引っ越し」
(光文社文庫)
リタイア後、田舎に移住したいという夫と考えが合わず悩む成美の前に、移住のアドバイザーとして登場したのは―(「あこがれの人」)。家賃の安い「告知事項あり物件」に引っ越すことになった詠斗は、挨拶に訪れた隣の部屋で、衝撃の出会いを果たす―(「告知事項あり」)。お引越しによる、出会いと別れ。その節目に、不思議なぬいぐるみと出会ったら。心震える三篇を収録。−裏表紙より−
短編ですが珍しく1話ずつが長めでした。
題名から想像していたのは、ぶたぶたさんが引っ越し業者の人で、意外と力持ちで大きな段ボールを運んでいるとか、引っ越しの見積もりにやって来て驚く依頼人とか、引っ越した後でアンケート的な物を取りに来てついでに悩み相談するとか、とにかく引っ越し業者なんだろうと思ってしまったのですが、そういうことではありませんでした。
なんかちょっと残念な気もしますが、これはこれで面白かったです。
「あこがれの人」
仕事を辞めた後に田舎に移住したいという夫と、それに反対する妻の話です。
田舎に住むのも良さそうとは思っているのですが、夫の動機が納得できず悩んでいます。そんなとき相談したのが移住アドバイザーとして登場したぶたぶたさん。
悩みを打ち明けて気持ちが軽くなって前向きに考えられるようになりました。
田舎で育った私としては、歳を取ってから田舎に行きたいという気持ちが全く理解できません。その方が健康的なのかもしれませんが、暮らすのは大変そうです。街中の方が便利そうと思ってしまいます。
でもぶたぶたさんが近所にいるなら考えてしまうな〜。
「告知事項あり」
「告知事項アリ物件」に引っ越すことになった人の話です。
この話ではぶたぶたさんは隣人でした。その物件に住むのも勇気がいりますが、隣人も大変そう、と思って読んでいたらもっと深い苦悩がありました。
優しくてカッコいいぶたぶたさんが読めますよ。
「友達になりたい」
この話が一番のお気に入りです。ぶたぶたさんのお子さんが登場します。しかも、同級生から見た様子も読めて面白かったです。
とはいえ、お子さんがメインではなく、やはりぶたぶたさんがメインになっていて、彼に近づきたい、仲良くなりたいと願う人たちのやりとりが描かれています。
意外な共通点があったりして、最後まで楽しめる内容でした。
引っ越しって、別れの悲しみもありますが、出会いもあってドキドキするものです。そんな時にぶたぶたさんと出会えたら、きっと楽しめるはず?
<ぶたぶたさんシリーズ>
「ぶたぶた」
「刑事ぶたぶた」
「ぶたぶたの休日」
「夏の日のぶたぶた」
「クリスマスのぶたぶた」
「ぶたぶた日記」
「ぶたぶたの食卓」
「ぶたぶたのいる場所」
「ぶたぶたと秘密のアップルパイ」
「訪問者ぶたぶた」
「再びのぶたぶた」
「キッチンぶたぶた」
「ぶたぶたさん」
「ぶたぶたは見た」
「ぶたぶたカフェ」
「ぶたぶた図書館」
「ぶたぶた洋菓子店」
「ぶたぶたのお医者さん」
「ぶたぶたの本屋さん」
「ぶたぶたのおかわり!」
「学校のぶたぶた」
「ぶたぶたの甘いもの」
「ドクターぶたぶた」
「ぶたぶたの花束」
「居酒屋ぶたぶた」
「海の家のぶたぶた」
「ぶたぶたラジオ」
「森のシェフぶたぶた」
「編集者ぶたぶた」
「ぶたぶたのティータイム」
「ぶたぶたのシェアハウス」
「出張料理人ぶたぶた」
「名探偵ぶたぶた」
「ランチタイムのぶたぶた」
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