2022年08月04日

伊坂幸太郎「クジラアタマの王様」

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 伊坂幸太郎 著
 「クジラアタマの王様」
 (新潮文庫)


記憶の片隅に残る、しかし、覚えていない「夢」。自分は何かと戦っている?製菓会社の広報部署で働く岸は、商品への異物混入問い合わせを先輩から引き継いだことを皮切りに様々なトラブルに見舞われる。悪意、非難、罵倒。感情をぶつけられ、疲れ果てる岸だったが、とある議員の登場で状況が変わる。そして、そこには思いもよらぬ「繋がり」があり・・。伊坂マジック、鮮やかなる新境地。−裏表紙より−


お気に入りの作家さん。しかも気になる題名で読んでみたくて「本が好き!夏に読みたい文庫プレゼントキャンペーン」に応募したところ当選しました! こういうくじ的な物って大体外れるんですけど、当選して嬉しかったです。


本を捲ったらいきなり漫画が描いてあってびっくりしました。2〜3ページでセリフはない漫画。中世ヨーロッパの戦士っぽい格好の人たちがいて、なぜか「ハシビロコウ」も描かれています。どういう意味だろう?と思うままに本編が始まります。

主人公・岸は製菓会社の広報部で働いています。広報部でもクレーム対応が主な仕事というストレスが溜まりそうな日常を過ごしています。社内ではきっと流行らないだろうと予想されていたあるお菓子が、あるアイドルが「美味しい」とテレビで言ったことで爆発的な人気を出し、品薄状態になっていました。

そのお菓子に「異物が入っていた」とクレームが来ます。初めの対応が悪かったせいで大ごとになっていき、対応がうまいとされている岸が対応することに。そこから会社上層部の古い体質や時代に合わない発言などのせいで発生するトラブルにどんどん巻き込まれていきます。


連絡短編のように1話ずつ完結はするのですが、その度に漫画が挟まります。その漫画の意味は、ある議員の登場によってわかってきます。その議員と、お菓子の宣伝をしてくれたアイドル、そして岸の3人が夢の中で出会っているというのです。そこにハシビロコウが出てきます。

所々で出てくるハシビロコウ。実は個人的に最近ハシビロコウに興味があって、とある花鳥園にいる1羽のハシビロコウの動画を見るようになっています。普段、鳥類は苦手で映像を見るのも嫌なのですが、なぜか彼女のことはかわいいと思えたんです。

動かない鳥と言われるハシビロコウですが、彼女はまだ幼いそうでよく動いています。好きな飼育員さんに対してお辞儀をする様子がかわいくて見ています。

そんなタイミングで出て来たハシビロコウ、運命の出会いをした気分でした。

この話の中でのハシビロコウは謎の存在で、その役割は他の鳥ではしっくりしない気がします。

何より驚いたのは題名。この題名が気になって読みたくなったわけですが、これもハシビロコウのことでした。動画を何度も見ているにも関わらず知らなかったのでびっくりしました。ラテン語での学名が「クジラアタマの王様」というそうです。何でこんな名前が付いたんだろう?謎です。嘴が広いからハシビロコウというのはなるほど、と思えますけど「クジラアタマ」って何?


作品の感想というよりハシビロコウの話になってしまいましたが、作品自体はこの作家さんらしく、不思議な世界観でどうやって収めていくのか不安に思いながら読んでいて気づいたらきれいに回収されている感じで、「あ〜面白かった」と本を閉じる状態になります。

いつもよりもハラハラ感が増していて最後は爽快でした。不思議な世界観に浸りたい方、ぜひどうぞ。


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posted by DONA at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:伊坂幸太郎
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