2022年06月17日

松岡圭祐「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論W シンデレラはどこに」

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 松岡圭祐 著
 「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論W シンデレラはどこに」
 (角川文庫)


中堅・グライト出版が大々的に売りだした新人作家REN。刊行した作品が女子中高生を中心に次々ベストセラーになるが、既刊からのパクリ問題が浮上しブームは突如として失速。出版界の事件を解決してきた李奈には、被害作家からの相談がよせられる。自著からの盗作も判明し、頭を悩ませる中、別の難題も抱えていた。「シンデレラの原典を探れ」という不可解なメールが届いたのだ。送り主の意図、そしてその正体は一体・・!?−裏表紙より−


初めましての作家さんです。以前から感想を読んで面白そうだとチェックしていた作家さんだったので、「本が好き」で献本申し込みしました。

シリーズの4作目から読むことになったので、登場人物の細かい設定などはわかりにくい部分がありました。ただ、そこは読み進めるのに大きな問題とはならなかったので助かりました。


杉浦李奈は作家として活動していますが、どうやらあまり売れていないようです。出版されている本も少ない様子。でも彼女には謎解き能力があるので、出版界での事件などを解決してほしいと様々な人から声をかけられています。

本人としてはそれよりも作品を出させて欲しいわけですが。


今回持ち上がった事件は、ある作家による盗作疑惑問題でした。RENという新人作家が出す本が次々とベストセラーになり注目されますが、どうやらあまり売れていない作家の作品を盗んでいる様子。

ただ、盗作となると著作権で争うことになるのですが、その線引きが曖昧なので立証が難しいのです。確かに、小説の題材となる物、その設定、人物像、人物名などは考えることって重なることも多いですから、どこまで似ていたら盗作なのか?は微妙になってきます。

登場人物の名前から設定から全部同じだともちろんパクリとなるわけですが、性別を変えたり、住んでいる場所の設定を変えたり、少し違うようにすればそれはパクリとも言い難くなります。

でもパクられた人からすれば、絶対に自分の作品を使っている!とわかるわけです。小説を書くのが簡単という作家さんはいないでしょうから、血のにじむような努力をして生み出した作品をいとも簡単に盗まれたらかなりショックだと思います。

李奈の作品もパクられていることがわかり、この問題も解決しないといけないのですが、更に李奈の元に「シンデレラの原典を探れ」という謎のメールが届き、周りの人間に危害を加えると書かれていたため、そちらに取り掛かることに。

シンデレラの原典なんて考えたこともありませんでした。李奈がすでに知っているだけでもたくさんの話があり、調べていくと世界中に似た話があることがわかってきます。なかなかエグい内容の物もあり、なるほどと感心しながら読み進めました。

継母と義理の姉にいじめられる美少女という設定、そして王子様(お金持ちの男性)が助けてくれるという設定、苦労した子ども時代を過ごした人にとっては憧れの設定ですから、似たような話が作られるのは当然ではありますね。

日本にもあったのは驚きでしたけど。ディズニーのシンデレラで知った身としては、王子様、パーティー、魔法、ドレス・・と日本というかアジアではありえない設定なので。不幸な境遇の少女を領主が救うと考えればあり得ますね。

どのように解決したのか?は読んでもらったら良いですが、なるほどそうなりますか、って感心しましたし、爽快な結末でした。


盗作問題とシンデレラ、一見関係なさそうな問題ですが、きれいに回収されて面白かったです。ちょっとあっさりし過ぎな気はしましたけど、それまでの部分で興味深く読めたのが良かったです。

これは1作目から探して読まないといけないと思いましたし、他の作品も読んでみたいと思いました。
しかもすでに5作目も発売されている様子。急がないと!


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