
伊坂幸太郎 著
「フーガはユーガ」
(実業之日本社文庫)
常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの、誕生日にだけ起きる不思議な現象、「アレ」のこと――。ふたりは大切な人々と出会い、特別な能力を武器に、邪悪な存在に立ち向かおうとするが……。−裏表紙より−
この作家さんの描く人物は淡々と飄々としていることが多く、今回の主人公・ユーガもそんな感じでした。淡々と自分の人生を語っていきます。
どんな展開になっていくのか、読み進める毎に変化していくので結末が気になりました。
SFっぽい展開になるのか?と思えば、意外と重々しくて、ミステリっぽい要素も出てきて、これはジャンル分けが難しい作品です。
この話の内容を語る上で必要な現象があるのですが、あらすじには「アレ」としか書かれていません。
そうなると、ネタバレせずに感想を書いていくのは本当に難しくなります。
双子に起こる不思議な現象といえば、何となく想像するのは片方が怪我をしたら、もう一人も同じ所が痛くなるとか、打ち合わせしなかったのに同じ色の服を着ていたとか、片方の悲しみが伝わって急に涙が出るとか・・。
でも私の平凡な頭で思いつくようなことならわざわざ「アレ」なんて言わなくても良いのでもちろん違います。もっとSFっぽい現象です。実際にはないでしょうね。・・・わかりませんが。
彼らの壮絶な人生を語っていくわけですが、顔をしかめるような記述も多くて読むのが辛い所もたくさんありました。でも双子で良かったのかもしれないと思います。お互い支え合えますから。
結末は悲しかったですが、ある意味明るい未来も見えるような、何とも複雑な感情のまま読み終わりました。もっと幸せな終わり方をしても良かったとは思います。
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