
高田郁 著
「あきない世傳金と銀 十一 風待ち篇」
(ハルキ文庫)
湯上りの身拭いにすぎなかった「湯帷子」を、夕涼みや寛ぎ着としての「浴衣」に──そんな思いから売り出した五鈴屋の藍染め浴衣地は、江戸中の支持を集めた。店主の幸は「一時の流行りで終らせないためにはどうすべきか」を考え続ける。折しも宝暦十年、辰の年。かねてよりの予言通り、江戸の街を災禍が襲う。困難を極める状況の中で、「買うての幸い、売っての幸せ」を貫くため、幸のくだす決断とは何か。大海に出るために、風を信じて帆を上げる五鈴屋の主従と仲間たちの奮闘を描く、シリーズ第十一弾!!−裏表紙より−
妹・結からの仕打ちにも負けず、幸は力強く立ち上がります。幸の方は結が元気でやっているか心配しているのですが、妹の方は相変わらずの冷たい態度です。しかも、結の店は店の者たちをあまり大事にしていないような噂が聞かれて、読んでいて私も心配になってきました。従業員を大事にしない店は長続きしない気がします。更にはお客にも愛されないと思うので、早々と潰れそうです・・。
良いライバル店として長く存在してほしいんですけどね〜。ダメかもしれません。
幸は売り出した藍染めの浴衣地を何とか江戸の人たちにずっと着てもらいたい、後世まで残していきたいという思いを強くし、どうすればみんなに広く伝わるだろうか?と考えました。
新たな染めの模様を考えることも必要ですし、何か大きな話題になるようなことも必要です。
歌舞伎役者や力士などから知恵をもらったり、染物に携わる職人にも話を聞き、浅草太物仲間の人たちとも話合い、一作を通してずっと悩み続けることになりました。
江戸にやって来た菊栄の商売もうまくいきかけたのに、問題が持ち上がって一時止まることになり、そのことに対しても心を痛める幸。でも菊栄の商売はあまり心配しなくても彼女なら乗り越えるだとうと思えたのでそこはあまり心配せずにすみました。
最終的に幸が下した決断は、同じ浅草太物仲間にとって驚くべきことでした。どんなことだったかは読んでのお楽しみ。なるほど、それこそお客様のことを第一に考える商売、「買うての幸い、売っての幸せ」を貫こうとする幸らしい、五鈴屋らしいやり方です。
度重なる妨害にも負けずに売り切る姿勢には、今回も感動させられました。五鈴屋さんたちと一緒に涙ぐんでしまいました。
最後には更に驚くべき発言&展開が! いよいよ幸による大逆転劇が起こるのか!?
続きが待ち遠しいです。
<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」
「合流篇」
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