2021年09月22日

大門剛明「この歌をあなたへ」

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 大門剛明 著
 「この歌をあなたへ」
 (祥伝社文庫)


小学校の養護教諭、宮坂蒼衣の住む街には悲しい事件の記憶があった。十九年前、クリスマスイベントで盛り上がる公園に刃物を持った男が乱入し、八人もの尊い命が奪われたのだ。ある日、蒼衣の勤める小学校に臨時の事務職員として一人の男が配属される。異常なほど頑なに人との関わりを避ける彼には、誰にも言えない秘密が――。加害者家族の苦悩と救いを描く感動の物語。−裏表紙より−


無差別に何人も殺害するという大きな事件から物語は始まります。場面が変わって描かれたのは、小学校の様子。養護教諭をしている蒼衣の日常が進んでいきます。始めは小学生にして天才歌手の異名をもって、メディアでも活躍している男子生徒とそれを取り巻く環境のようなことが描かれるので、彼を中心とした話になるのだろうと思いました。

蒼衣がその子の悩みに向き合って、小学校生活にもなじめるようにしたり、親との関係を修復したりしていくのか?と。生徒と先生の淡い恋なんて展開になったら読みたくないな、とか色々思いながら読んでいると、その問題はそこまで大きくならず、どうやら同じ小学校で働く臨時の事務職員にスポットが当たっていく様子。

話の展開がどうなっていくのか気になるけど、あまり面白い展開に思えず前半は読むスピードが上がりませんでした。

でもだんだん事務職員の謎めいた行動に興味が出てきて、彼の秘密とそれに振り回される人たちのことが気になって読むスピードも上がりました。彼は一体何を隠しているのか?なぜ人と距離をとって生活しているのか?など気になることがたくさん。


その理由が明らかになってからは、どうして世間の人たちは彼に対してそんな態度をとってしまうのかが不思議でなりませんでした。本人ならともかく、その兄弟は何も関係ないし、攻められる理由もないはずなのに、なぜなんでしょう?その心理が理解出来ませんでした。

同じ家で育ったら同じような考えを持つのではないか?と不安になるのでしょうか。家族でも考えはそれぞれ違うのに、そんなこともわからないということなんですね。不思議です。

とはいえ、そういう立場になったことがないので自分がどんな反応をするのか、絶対に大丈夫と言えるのか、だんだん不安になってしまいました。そういう人に会うことがあったら、「だからどうした?あなたはあなたでしょ?」と軽く言えるような人間になっていたいと強く思います。

被害者家族からの手紙や言葉には泣かされましたし、この人は死ぬまで苦しみから解放されることはないのだろうと思うとより悲しくなりました。


最後は一応明るい雰囲気で終わってくれたのは良かったですが、読み終わってもスッキリ出来る感じではなかったです。


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posted by DONA at 14:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:大門剛明
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