
近藤史恵 著
「わたしの本の空白は」
(ハルキ文庫)
気づいたら病院のベッドに横たわっていたわたし。目は覚めたけれど、自分の名前も年齢も、家族のこともわからない。夫を名乗る人が現れたけれど、嬉しさよりも違和感だけが立ち上る。本当に彼はわたしが愛した人だったの? 何も思い出せないのに、自分の心だけは真実を知っていた……。愛≠突き詰めた先にあったものとは──。最後まで目が離せない傑作サスペンス長編!−裏表紙より−
記憶喪失物?です。そんな言い方するのか?は知りませんが。
最近まで読んでいた本も記憶喪失の人が出てきました・・。何かそういうのが好きなのか?って感じです。まあ結論から言うと好き・・ではないです。確かにミステリ感は増しますけどね。もどかしい気分になるのがあまり好きではありません。
この物語の主人公はどうやら階段から落ちて頭を打ったことで記憶が無くなったようです。ずっと「わたし」という視点で語られていくので、ケガの原因も想像でしかありません。入院している彼女の元へやって来たのは、夫だと名乗る男性でした。彼はとても優しい人でしたが、会っても何の感情もわかないことに不安を覚えます。
更に夫の妹という人から投げかけられる言葉にもショックを受け、自分には味方がいないのでは?と心細くなっていきました。
身体的には何の問題も無いので、すぐに退院することになり、夫という人の家に帰るわけですが、全く覚えのない家に戸惑うばかり。でも突然、自分の部屋に入るとあるべき物が無くなっている感覚がしたり、妙に落ち着く場所があったり、少しずつ記憶が戻りそうにはなりました。
このまま記憶が戻って終了、だと物語として成立しませんが、ここから謎の人物が現れたり、ケガの原因が本当に事故だったのか?という疑問が出てきたり、次々謎が出てきてミステリとして盛り上がっていきます。
お陰で後半はほぼ一気読み。
謎が解明しても、個人的にはスッキリしませんでしたし、納得できない部分も多かったのですが、一応解決はしました。
記憶喪失の不安さなんて、想像も出来ませんが、自分が誰なのか、どうやって生きてきたのか、全てを忘れてしまうのはどれほど心細いか・・。周りの人をただ信頼して助けてもらうしか方法は無いわけですけど、誰を信頼して良いのかも難しいでしょうね。「家族です」と名乗られたら信じるしかないですから・・。
最後まで読んでみて、やっぱり記憶喪失物は好みじゃないなと思ってしまいました。どうしても、すっきり出来ない気がします。いきなり記憶のすべてを思い出しました!という終わり方をしても嘘くさいですし、記憶の一部は戻っていません、だと解決しきれないですし、周りの人が真実を話してくれても、それは本当に真実なのか?って疑ってしまいますし。
ミステリは全ての謎が解明して、すっきり爽快に終わってほしい!と思ってしまいます。
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