2021年08月18日

近藤史恵「みかんとひよどり」

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 近藤史恵 著
 「みかんとひよどり」
 (角川文庫)



シェフの亮は鬱屈としていた。創作ジビエ料理を考案するも、店に客が来ないのだ。そんなある日、山で遭難しかけたところを、無愛想な猟師・大高に救われる。彼の腕を見込んだ亮は、あることを思いつく……。−裏表紙より−


ジビエ料理を出すレストランの話です。

ジビエ料理か〜。ほとんど縁がないです・・。食べたことがあるのは鹿肉くらいかな? 思ったより臭みも無く美味しかった覚えがあります。

ジビエの中では比較的身近な感じのするイノシシは意外と食べたことがありません。ボタン鍋は映像を見る限り美味しそうですけど、高いイメージがあって手が出せていません。


この珍しいレストランでシェフをしている亮は、オーナーにジビエ料理の腕を買われて雇われているのですが、なかなか客足が伸びずに悩んでいます。確かにジビエって敷居が高いですもんね。仕方ない部分はあると思うのですが、他のジビエ料理店はお客さんが来ているらしいと聞くと穏やかではいられません。

ジビエ料理を作る上で大変なのは、まず材料を安定して手に入れること。猟師の知り合いもいなかった亮は、自分でも猟に行くことがありましたが、毎回自分で獲るわけにはいかず悩んでいました。

猟に行った時に、遭難しそうになり、助けてくれた猟師・大高と出会ったことで材料の供給は安定させることが出来ました。


このまま行ったら何の盛り上がりも無く終わりそうな感じですけど、もちろんそうはいきません。猟師の大高が世捨て人のようで、謎がたくさんある人物で、その隠されている事が何なのか?がこの物語の大きなテーマになっていきます。

彼の抱える秘密ももちろん気になりますが、最後まで読んで思うのは、人は他の生物の命をもらって生きているのを忘れてはいけないということ。ジビエのように野生の動物だけではなく、普段食べている牛肉豚肉鶏肉も買う時には小さくカットされているから忘れがちですが、元々は生きている動物。その命を頂いているんだということに、感謝しながら食べないと申し訳ないですよね。魚介類もです。

その動物たちを育てている方、加工している方、売っている方、色んな方の手を借りないと自分たちの口には入らない。そういう当たり前にわかっているはずのことですが、あまりにも日常過ぎて忘れてしまいがちなので、食べる時にはしっかり感謝したいと改めて思わされました。もちろん無駄にするのはもってのほか。きちんと美味しく頂きたいと思います。

感謝感謝。


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posted by DONA at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:近藤史恵
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