2021年08月06日

矢崎存美「ランチタイムのぶたぶた」

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 矢崎存美 著
 「ランチタイムのぶたぶた」
 (光文社文庫)


スーパーに勤める聖乃は、一人で過ごすお昼休憩を味気なく思っていた。そんな中、思いがけないお弁当を持った「山崎ぶたぶた」という新人が現れ、聖乃の毎日が変わり始める――(「ぶたぶたのお弁当」)。仕事も勉強もお悩みも、ひと休みできる「お昼」の時間。さりげなくも大切な時間を、お店や職場やお家で、不思議なぬいぐるみと過ごした人々の、七通りのランチタイム−裏表紙より−


「寝落ちの神様」「ぶたにくざんまい」「助けに来てくれた人」「ぶたぶたのお弁当」「相席の思い出」「さいかいの日」「日曜日の朝」の7編収録。

今回のぶたぶたさんは、最近の世の中に合った状況での話でした。つまり、新型コロナウィルスが感染拡大している世の中ということです。

飲食店が軒並み休まされて、どんどん閉店していく世の中。今となっては全く感染者数が減っていないというのに、意外と慣れてしまっていますが、始めの頃は本当に「どうなっていくんだろう?」という不安でいっぱいでしたよね。

そんな不安いっぱいな頃に登場してくれるぶたぶたさん。ありがたいです〜!


「寝落ちの神様」は、一人暮らしの大学生の話です。今もほとんど大学に行っていないという学生さんもおられるようですが、始めの頃は本当に休校で、オンライン授業さえもほとんどないような状況でした。そういう時に家族で住んでいるならともかく、一人暮らしの場合は本当に辛かっただろうと思います(私は学生でもなければ一人暮らしでもないので想像でしかないですけど)。

ここに出てくる学生さんも学校が休みになり、かといって実家に帰るのも難しい状況で、何となく一人暮らしを続けています。アルバイトは続けていましたが、気力がなくなっていて、自分では気づかないうちに食事も億劫になっていました。そんな彼の元に現れたのがぶたぶたさん!ありがたいですね。彼はぶたぶたさんの料理と会話することでどんどん元気になっていきます。

家族のありがたみも感じられる話で、最後はちょっと感動しますよ。


「助けに来てくれた人」は、子どもが主人公の話です。母親が具合悪くなって寝ているので「よし!お母さんにお料理作ってあげよう!」なんて考えて一人で出かけてしまうという強い子どもです。出先でぶたぶたさんと出会い・・・。こちらもちょっと感動する話ですよ。というか、ぶたぶたさんに会っていなかったらどうなっていたのか!


「ぶたぶたのお弁当」では、ぶたぶたさんのお店や娘さんたちの陰がチラチラと見えて、「日曜日の朝」ではしっかりと娘さんたち登場。久しぶりに嬉しかったです。彼女たち、本当に良い子に育っています。ぶたぶたさんがお父さんだったら当たり前ですけどね。でもぶたのぬいぐるみが父親だなんてどんな心境なんでしょう? 想像も出来ませんね。


まだまだ収まりそうもないコロナですが、早く飲食店が再開して、またみんなで楽しく食事が出来る世の中になってほしいですね。


<ぶたぶたさんシリーズ>
「ぶたぶた」
「刑事ぶたぶた」
「ぶたぶたの休日」
「夏の日のぶたぶた」
「クリスマスのぶたぶた」
「ぶたぶた日記」
「ぶたぶたの食卓」
「ぶたぶたのいる場所」
「ぶたぶたと秘密のアップルパイ」
「訪問者ぶたぶた」
「再びのぶたぶた」
「キッチンぶたぶた」
「ぶたぶたさん」
「ぶたぶたは見た」
「ぶたぶたカフェ」
「ぶたぶた図書館」
「ぶたぶた洋菓子店」
「ぶたぶたのお医者さん」
「ぶたぶたの本屋さん」
「ぶたぶたのおかわり!」
「学校のぶたぶた」
「ぶたぶたの甘いもの」
「ドクターぶたぶた」
「ぶたぶたの花束」
「居酒屋ぶたぶた」
「海の家のぶたぶた」
「ぶたぶたラジオ」
「森のシェフぶたぶた」
「編集者ぶたぶた」
「ぶたぶたのティータイム」
「ぶたぶたのシェアハウス」
「出張料理人ぶたぶた」
「名探偵ぶたぶた」


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posted by DONA at 14:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:矢崎存美
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