
近藤史恵 著
「あなたに贈る×キス」
(PHP文庫)
閉ざされた学園を震撼させる一人の美少女の死。先輩、教えてください。あなたがここにいないのは人を愛したせい? それとも誰かに殺されてしまったの? 感染から数週間で確実に死に至る病。そのウイルスの感染ルートはただひとつ、唇を合わせること。かつては愛情を示すとされたその行為は、国際的に禁じられ、封印されている。しかし、ある全寮制の学園で一人の女生徒が亡くなり、「彼女の死は、“あの病”によるものらしい」と不穏な噂が駆け巡った。真相を探る後輩の美詩が辿り着いた、あまりに甘く残酷な事実とは。鮮烈な印象を残す青春ミステリー。。−裏表紙より−
感染したら2週間くらいで確実に死に至るという謎の病が流行しているという設定の話です。その病気に感染するのはなぜかキスをしたときでした。
今の時代に読むのがタイムリー過ぎて驚きましたが、コロナと違って、キスさえしなければ感染しないので、そこまで行動は制限されなくてラクだと思ったのですが・・。
ただ、コロナと同じで自分がキャリアかどうかはわからないというのが困った所で、誰かにキスして初めてわかる状況。しかも相手もキャリアだったらもう感染させるも何もないわけで、キャリア同士ならキスしても大丈夫ということです。
でも誰がキャリアなのかわからないため、初めてキスするときはかなりの緊張感というか、命がけということになって、国際的に禁止されることになりました。まあそれは当然ですね。
キス以外のふれあいは特に問題がないというのもまた謎です。
そんな世界で、全寮制の学園でとある女子生徒・織恵が感染して死亡する事件が発生します。恋人がいたという噂もなく、優等生だった織恵の死は、憧れをもって見つめていた後輩・美詩の心にも傷をつけました。
絶対に先輩は自分から進んでキスをするはずがない、と殺人事件を疑った美詩は、こっそりと調査を始めます。確かに、もしかしたら感染するかもしれないという危険を知っていながら、自ら進んでするのは変です。幼いころからそうやって育ってきたのですから、好きな人とキスをして愛情を確かめ合うことを知らずにいたら我慢するという感覚もないでしょう。そんな年代の子どもが死ぬのは変です。
しかも、相手がキャリアだったら確実に感染して、確実に死ぬのですから、かなりのリスクを伴うわけです。
調査の結果はとても悲しいものでした。これは青春物になるのでしょうが、美詩の受けた傷はどうやったら回復出来るんだろうと心配なまま終わってしまいました。
更に私生活でも問題が起きてしまいますが、そこは「想像にお任せします」状態で終わったのは気持ち悪かったかも。まあ結果は何となくわかるんですけどね。
狭い世界で生きている彼女ら彼らのこれからの人生が幸せになると良いのですが。少なくとも、コロナ禍の今よりは感染防止しやすそうですけど・・。とりあえず私はこの病気には感染しない自信があります。良いんだか悪いんだか・・。
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