
椹野道流 著
「最後の晩ごはん 聖なる夜のロールキャベツ」
(角川文庫)
兵庫県芦屋市。定食屋「ばんめし屋」を訪れた中学生の少女。その目的は「幽霊に会うこと」。元俳優で店員の海里たちは困惑し、幽霊など出ないと嘘をつく。しかし彼女の会いたい幽霊とは、幼い頃亡くした父の霊だった。一方、海里はテレビ番組のCMで、作家の淡海が海里をモデルに書いた小説が完成したことを知る。しかも淡海が、モデルが海里であることを明かし、さらに驚きの発言をしたことで大騒動となり……。大波瀾の第11弾!!! −裏表紙より−
もう11作目(10作目は感想まだです)なんですが、話はゆっくりゆっくり進んでいます。今回は激動の巻でしたけど。
今回の霊(と呼んで良いのかわかりませんが)は、とても優しかったです。電車の中でなかったら泣いていたかも。こういう家族物って泣いてしまうな〜。
ばんめし屋にやってきた中学生の女の子。ただ食事をしに来ただけではなく、幼い頃に自殺した父親の霊に会いたいからという理由付きでした。
この店に来れば幽霊に会えるといううわさを聞いたそうです。そんな彼女にロイドは「そんなことは無い」ときっぱりと否定しましたが、彼女はそれから早い時間に通うようになりました。
誠心誠意対応するばんめし屋の人たちに癒されながら美味しい食事をして帰っていく彼女。最後には彼女のリクエストでロールキャベツを作ってあげました。しかも、昔父親が作ってくれたというキャベツが肉から離れてしまってドロドロになっているロールキャベツ。店主の夏神は、料理人としてのプライドを捨ててドロドロロールキャベツを作ってあげました。
そして、感動の出来事が。
今回は霊のことよりも、イガに巻き起こる騒動が大きかったです。その騒動を起こしたのは小説家の淡海でした。彼は以前からイガをモデルにした小説を書いていたのですが、それが完成して宣伝のためにテレビ出演した際、そのことを公表し、更に大きな爆弾を落としたのでした。
イガが芸能界を追い出されるきっかけとなった出来事の時以来の大騒ぎで、やはり消息を調べあげたマスコミから追われることに。でも今回は騒動が起こることは想定出来たため、早めに対策をうつことができて被害は少な目でした。
でもこの騒動で、イガが出した答えは納得できるものでしたし、芸能界に戻るのは遅くなりそうですが今後も応援していきたいと思わされました。大きく成長したな〜イガ!とヨシヨシしたいくらいでした。
彼がじっくり時間をかけて、力を蓄えて覚悟をもって芸能界に戻るまで追い続けます。もしかしたらもう戻らないかもしれませんが、それはそれで良いのかもしれません。
<最後の晩ごはん>
「ふるさとだし巻き卵」
「小説家と冷やし中華」
「お兄さんとホットケーキ」
「刑事さんとハンバーグ」
「師匠と弟子のオムライス」
「旧友とおにぎり」
「黒猫とドーナツ」
「忘れた夢とマカロニサラダ」
「海の花火とかき氷」
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