
尾崎章 著
「替え玉屋 慎三」
(祥伝社文庫)
表向きは評判の髪結い。その裏稼業は、巧みな化粧で人を他人そっくりに仕立て上げ、機知と騙りで悪を退治する「替え玉屋」―お武家嫌いの町人慎三は、ある小藩の窮状を聞き、渋々腰を上げる。筆頭家老一派による米横流しの絡繰りを暴いて糾弾すべく、死んだはずの男の替え玉を国許に向かわせ…。慎三の仕掛ける二重三重の罠が悪を追いつめる、痛快時代小説!書下ろし。−裏表紙より−
先に2作目から読んで面白かったので、1作目に戻ってみました。主人公・慎三がなぜこんな稼業を始めたか?がわかるかと思ったのですが・・。
結局そういう謎の部分は謎のままで、もちろん慎三の過去も秘密のままでした。その辺りは少しずつ明らかにしていくんでしょうね。
今回の依頼は、武家からでした。武士が嫌いな慎三ですが、依頼内容を聞いて引き受けることに。
その内容は、時代小説や時代劇のファンなら、「はいはい、ありがちなやつね」って感じです。藩の中の一派が悪事を働いて、でもその中心人物が藩の中でも重要な役についているので誰も反抗できない・・というパターン。
そしてヒーロー登場! このままではいけない!と勇気をもって、命を懸けて立ち上がる人がいるんですよね。そして、そのヒーローは悪者たちによって殺害されてしまう。
でもそれで終わってしまったら、悪が勝ってしまうので、必ずその遺志を継ぐ人が現れます。
今回は遺志を継いで立ち上がった人たちを助けるのが依頼。うんうん、よくあるやつね・・と思うはず。普通の時代小説なら、ものすごく腕の立つ剣客を用心棒にして、その剣客がバッサバッサと敵を倒して行くのですが、この小説では違います。
ここで「替え玉屋」という意味が出てくるわけです。どうやって依頼を成し遂げたのか、更に痛快なこともたくさんあるので、そこは読んでのお楽しみということで。
主人公・慎三はまだキャラクターがわかりにくいですが、他の人たちは魅力的です。代筆屋・文七、元盗人・辰吉、剣客・新之丞。彼らの協力なしでは依頼を成し遂げられません。慎三の理解者でもあり、熱くなってしまうのを抑えたり、役目がたくさんあって、大活躍です。
シリーズはまだ続いているので、早めに続きも読むことにします。
<替え玉屋慎三>
「伊勢の風」
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