
近藤史恵 著
「私の命はあなたの命より軽い」
(講談社文庫)
東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子。夫の克哉が、突如、ドバイへ赴任することになったため、遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることに。だが、実家に帰ると、両親と妹・美和の間に、会話がないことに気がつく。そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。不穏な空気が流れる実家で、出産への不安と家族への不信感があふれ出る……そして明らかになっていく家族を襲った出来事とは――。−裏表紙より−
これはまた何とも感想に困る内容です・・。
誰のことも「わかる」と言えない状況で、複雑な心境のまま読み進めることに。
まず、初めての出産を控えている妻を置いて、仕事とはいえ海外に赴任してしまう夫。確かに夫がいても役には立たないのかもしれませんが、精神的支えにはなるはずです。産気づいた時に病院に送るだけでも助かるのに、何で普通に海外に行けるのか・・。
そして遼子の両親。初めての孫が産まれるかどうかという時に、ここまで不安な環境にいさせてしまう神経がわかりません。お母さんが東京に行くという選択肢はなかったか??
もちろん、遼子の妹・美和に対する仕打ちは一番納得が出来ません。未成年だし育てられないだろうと考えるのは当然だとは思いますが、それ以外の部分は理解できません。
更に美和。彼女は被害者なので、始めのうちはまだ優しい気持ちで見ていられたのですが、だんだんと・・・。
遼子に相対して、心がざわつくのはちょっとわかる気はしますし、当たり散らしたくなる気持ちもわかる気はするんです。でも、最後の最後であの状況になるのは何だか・・。
遼子は何もしていないのに。
何もしていないことに腹が立つのかもしれませんけど、知らなかったわけですし。
結局、誰のことも好きになれない何とも後味の悪い状態で話が終わって、何だったんだろう?という気持ちになりました。
読み終わって題名を見たら余計に辛くなりました。
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