
高田郁 著
「あきない世傳金と銀<十> 合流篇」
(ハルキ文庫)
呉服太物商でありながら、呉服仲間を追われ、呉服商いを断念することになった五鈴屋江戸本店。だが、主人公幸や奉公人たちは、新たな盛運の芽生えを信じ、職人たちと知恵を寄せ合って、これまでにない浴衣地の開発に挑む。男女の違いを越え、身分を越えて、江戸の街に木綿の橋を架けたい──そんな切なる願いを胸に、試行錯誤を続け、懸命に精進を重ねていく。両国の川開きの日に狙いを定め、勝負に打って出るのだが……。果たして最大の危機は最高の好機になり得るのか。五鈴屋の快進撃に胸躍る、シリーズ第十弾!!−裏表紙より−
前作は痛くて苦しい巻でしたが、今作は平穏で幸せな巻でした。
とはいえ、前作の苦しさから抜け出すための試行錯誤が繰り返されたので、苦しい場面はたくさんありました。でもこれを完成させれば絶対に成功する!という確信があるのでかなり前向きな気分で進められました。
読者側もただひたすら「がんばれ!やれば出来る!」と応援すれば良かったので、苦しまずに読めました。
いよいよ、大坂から菊栄さんがやって来ました。幸にとってはかつての女主人ですが、今は良い友人となっている菊栄。今回は彼女がカッコいい活躍を見せてくれて嬉しかったです。
菊栄さんにも色々と大変な部分はあるのでしょうが、商売上手な彼女ですから、江戸でもきっとうまくやれるはずです。そして、幸たちの支えにもなってくれるはず。
そう思うと心強くて頼もしくて、幸と共に感謝感謝な気分になりました。
相変わらず色んな人たちに助けられている幸。彼女の人柄に惹かれてみんな助けてくれるのでしょうが、今後も彼女の元、店が繁盛していく、いやお客様に愛される店になるのを楽しみにしています。
今回は妹が何もしてきませんでしたが、彼女が黙っているとも思えないので、どうなるのか・・。いつかは姉妹仲良くできたら良いのですが。
そして、今回は良いことがもう一つあって、お梅どんの春に私も嬉しくなりました。彼女の存在は江戸本店を明るくしてくれるので、いつまでも元気で幸せでいてほしいです。
次回も平和に過ぎたら良いですけど、そうはいかないでしょうね・・・。でも幸たちなら乗り越えていってくれるでしょう。
<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」
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