
柚月裕子 著
「ウツボカズラの甘い息」
(幻冬舎文庫)
家事と育児に追われる高村文絵はある日、中学時代の同級生、加奈子に再会。彼女から化粧品販売ビジネスに誘われ、大金と生き甲斐を手にしたが、鎌倉で起きた殺人事件の容疑者として突然逮捕されてしまう。無実を訴える文絵だが、鍵を握る加奈子が姿を消し、更に詐欺容疑まで重なって・・・。すべては文絵の虚言か企みか? 戦慄の犯罪小説。−出版HPより−
ウツボカズラというのは、食虫植物の一種です。読み終わったら題名がしっくりくる内容でした。
物語はとある女性の日常の様子から始まります。他の人より精神的に辛そうではあるけれど、よくいる感じの専業主婦の日常で、彼女がどんな風に立ち直っていくか?が描かれていくのかと思ったら、次の場面ではいきなり殺人事件が。
その殺人事件の捜査をする警察の様子と主婦の日常が交互に描かれていて、それが少しずつ重なり合っていきます。
読み進めるうちに、きっと殺されたのはあの人だな、とかきっと犯人はあの人だな、とかわかってきて、全く関係なさそうな殺人事件と主婦がいよいよ関係してくるとちょっと嬉しくなってしまいました。
動機はまだわからないけど、まあ彼女が殺したんだろうと予測しながら読み進めると驚きの展開が。
犯人が違うというのは、私の推理力ではよくあることですけど、まさかそんなことが! という別の驚き。そうなると、彼女の人生があまりにも辛くて悲しくて、幸せな家庭なのになんでこんなに病んでいるんだろう?と疑問だったことも一気に解決しました。
彼女が壊れてしまったのも、こんな事件に巻き込まれてしまったのも納得です。
そこまで一気読み状態でした。
ただ、犯人がわかってからが慌ただしすぎたのが残念でした。もっとゆっくりじっくりと犯人の人生についても描いて欲しかったですし、犯人にたどり着くまでの警察の動きももっと知りたかったです。
ちょっと動機がわかり辛いというか、納得しかねました。
最後まで読んでも誰も救われない感じがして、後味悪かったです。事件解決までの疾走感は心地よかったので、最後さえもう少し細かければ・・・。
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