辻堂魁 著
「帰り船 風の市兵衛」
(祥伝社文庫)
日本橋小網町の醤油酢問屋「広国屋」に風のように一人の男が現われた。“算盤侍”の唐木市兵衛である。使用人の不正を明らかにしてほしいということだったが、折しも広国屋で使う艀に直買い(密輸)の嫌疑がかかっていた。市兵衛は店を牛耳る番頭の背後にいる、古河藩の存在を知る。その側用人と番頭の企みとは?風の剣を揮う市兵衛の活躍やいかに。−裏表紙より−
シリーズ3作目です。2作目の感想は書いていませんが・・。いつか再読して書く予定。
あらすじを読んで、そういえば「算盤侍」だった、と思い出すくらい、算盤が出てこない巻でした。しかも事件自体、特に調査するまでもなくちょっと突ついてみたらどんどん敵の方からボロを出す状態で、苦労なく解決します。
でもその分、市兵衛の剣の強さが際立った感じはしたのでそれはそれで良いのかもしれません。
武士の時代、武家にとっては見栄を張るというか、身分相応の見せ方をしないといけないのに財政は苦しくて、でも大っぴらに副業をするわけにもいかず、商人に頭を下げてお金をもらうのはプライドが許さないし、でもお金は必要で。
そうなると、藩の中でもお金を持っている者は重宝されますし、上の人にお金を撒いて出世出来たりします。戦国時代なら敵の大将の首をとったら出世できることもあるのですが、平安な時代にはそうもいきません。だから、出世したい人はお金がもっとたくさん欲しい。
どうやってお金を手に入れるか?知恵を絞ると、やはり違法な所に手を出すんですよね。これはいつの時代も同じです。こういう違法なことをしてお金を得る人の話を読む度に、こういう悪いことに頭を使えるなら他の方法も考えられそうなのにと思います。
そして巻き込まれるのは、商人の中でも出世が見込めないような二番手三番手の人たち。違法なことをすればお金が手に入る立場にあり、働いている店に対して不満があると付け込まれます。
「広国屋」の番頭たちもある意味被害者ではあるんですが、徹底的に悪者として描かれているので、彼らが負けた瞬間、スカッと出来るのは良かったです。
今回も出て来た気味の悪い敵。変な技を使う女性なのですが、市兵衛の好敵手となりそうです。
読みやすくて面白い時代小説なので、続きも読んでいく予定です。
<風の市兵衛>
「風の市兵衛」
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