
西條奈加 著
「銀杏手ならい」
(祥伝社文庫)
手習所「銀杏堂」に集う筆子とともに成長していく、新米女師匠・萌の奮闘物語
子に恵まれず離縁され、実家の手習所「銀杏堂」を継ぐことになった二十四歳の萌。女先生と侮る悪童らに振り回されながら、忙しない日々を送っていた。ある朝、銀杏堂の門前に女の捨子を見つける。自身も血の繋がらぬ両親に愛情深く育てられた萌は、その子を「授かりもの」として育てることを決心するが…。真っ直ぐに子どもと向き合い成長する、時代人情小説の傑作。−裏表紙より−
祝!直木賞受賞。 読書好きではありますが、直木賞ってどんな賞なのかよく知りません・・。でも、とにかく賞を取るのはすごいことですよね。これを機会に、手に入らなくなっている作品を再出版してほしいです。ゴメスシリーズとか読みたいものがたくさんあります。
「銀杏堂」という手習所を父親から受け継いだ萌。彼女は一度嫁入りしましたが、子供が出来ずに離縁されて戻って来ていました。嫁入り前に手伝っていた手習所を受け継いで、母親にも手伝ってもらいながら毎日を過ごしています。
ストーリーとは関係ありませんが、子供が出来ないから離縁って、昔は理不尽ですよね。どちらが原因かわからないのに簡単に実家に戻されてしまいますし、文句も言えない。出戻ったら、産めない女性としてレッテルを貼られた状態で生きていくことになる。嫌な時代です。
門の前に大きな銀杏の木がある所から「銀杏堂」と名付けられた手習所。ここには、勉強するために通っている子どもたちがいます。年齢も性別も、家柄も様々な子どもたちなので、教える方はなかなか大変です。
武士の家なら勉強も大事ですが、商人や農家だと勉強はほどほどで良いということにもなってきます。更に女の子なら家を継ぐわけでもないので、行儀見習いさえ出来ればそれで良いと言われてしまいます。
子ども自身が習いたいものと、親が習わせたいものが違ったり、師匠として教えたいものが違ったりして、問題が次々と。子どもたちの可愛らしいけど真剣な悩みや、言動にクスリと笑ってしまう所もたくさんありました。
子供が出来ずに出戻ることになった萌の元に、捨てられた赤ちゃんがやって来ます。門の前に置かれた赤ちゃんを抱っこした萌は自分で育てることを決意します。実は、萌自身も捨て子だったこともあり、血がつながらなくても愛情をたっぷりもらった経験がありました。
色々戸惑いながらも日々成長していく赤ちゃんと向き合って、萌も成長していく様子が心地よかったです。
子どもたちを含め、萌や赤ちゃんの成長と幸せを祈らずにはいられない素敵な作品でした。
旅に出ていた父親が帰ってくるようなので、また雰囲気も変わるであろう銀杏堂の今後の物語をいつか読みたいと思いました。続編希望です。
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