
柴田よしき 著
「あんの青春〜若葉の季〜 お勝手のあん」
(ハルキ文庫)
昨年の大地震が残した爪痕も、ようやく幾らか薄れてきたように思えた頃。品川宿の宿屋「紅屋」では、おやすが見習いから、台所付きの女中として正式に雇われることとなり、わずかばかりだが給金ももらえることになった。「百足屋」のお嬢さま・お小夜が嫁ぎ、おあつから別れの手紙を受け取るなど、寂しくもなるおやすだが、心配していた勘平の消息を聞き、「むら咲」の女料理人・おみねから出された謎も考えながら、充実した日々を送っていく──。時代小説版「赤毛のアン」、大好評シリーズ第三弾。−裏表紙より−
このあらすじすごいな〜。改めて読んだら笑ってしまうくらい、ほぼ全部の出来事が説明されてる!
まさにこれらのことが次々と起きました。なかなか忙しい日々を送っていますよ、おやすは。そして、難問を解決する度に大きく成長しています。
おみねから出された謎を解くために協力してもらったのは、とある漢方医で、人たらしというか、気付けば何でも話してしまうような心安い男性で、おやすも頼りにしていました。彼とは今後も何やらありそうです。もしかしたら恋のお相手??とか勝手に想像していますがどうなるでしょう。
おみねの謎解きでは、現代ではよく食べるある料理が登場します。謎の答えになる物なので書きませんが、今では普通によく食べる料理と初めて出会ったおやすたちの反応に何だか感動してしまいました。黒船がやって来たくらいの時代なので、今後日本が大きく動くはずで、だんだん新しい食材や料理とも出会っていくのでしょうね。
嫁いだお小夜さんも相変わらずのわがままぶりのようです。でもすっかり奥様らしくもなりました。わがままも可愛いと思ってもらえる所に嫁げたお小夜さんは幸せです。今後も交流は続きそうなので楽しみです。
おあつさんとはお別れになりそうな雰囲気です。でももしあの「篤姫」だとすれば、時代が動けばまた会えそうな気もしますけど。
そして今回何よりも心配で、何よりも苦しかったのはおちよちゃん。おやすが働く店の主人の親戚の子なのですが、実家の店を継ぐために修行中の身。でもいい加減な所も多くて周りから叱責されることもしばしば。性格は明るくて可愛らしい少女です。
そんな彼女が今回は恋をして、その恋のせいで問題が・・・・。これを恋と呼んでいいのか?というくらいの物ですが、その代償は大きくて、この問題はどうやって解決していくのか心配でたまりません。
おやすが身代わりになるとかいう展開はやめてほしいですけど、どうなるやら。
おちよがおやすに言った言葉の数々がまた痛くて苦しかったです。本心ではないとは思いますが、心のどこかにはあったであろう感情は、ある意味正論でもあって、でもそうしないと生きていられなかったおやすのことを思うと苦しかったです。
そして、そんな辛い言葉たちを怒ることなく冷静に分析して受け止められるおやすのことをますます好きになりました。
まだ物語は始まったばかりです。今後も楽しみです。
<お勝手のあんシリーズ>
「お勝手のあん」
「あんの青春〜春を待つころ〜」
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