
霜島けい
「のっぺら あやかし同心捕物控」
(光文社文庫)
南町奉行所定町廻り同心の柏木千太郎は、腕が立ち情に篤く正義感にあふれた江戸の人気者。―ところが、一つだけ変わったところが。彼には、顔がない。つまり、のっぺらぼうなのだ! 不器用だが心優しい同僚の片桐正悟や、千太郎を慕う下っ引きの伊助らとともに、数々の不思議な事件の解決に奔走する。笑えて泣けて癒される、傑作あやかし時代劇の第一幕、開幕です!−裏表紙より−
「あやかし同心」「ばらばら」「へのへのもへじ」の3編が収録されています。
初めましての作家さんです。ネットで感想を読んで面白そうだったので読んでみました。あらすじを読んでいるだけで頭の中に疑問符がたくさん浮かんでしまいます。
同心で腕が立ち情に篤いけど、のっぺらぼう・・・・??ですよね。
のっぺらぼうなのに、江戸の人気者だそうな。のっぺらぼうの同心という時点で想像したのは、普段は普通の人間として暮らしているけど、いざ捕物の時になると顔がすべて消えてのっぺらぼうになって、犯人を恐怖に陥れて逮捕しやすくする、というような展開でした。
でも千太郎は違うんですよね・・。本当に始めからずっと常にのっぺらぼう。だから、しゃべれません。しゃべれないから、字を書いて会話するんです。・・っておかしくない!?
目は見えるんだ〜! ってびっくり。というかまたまた??です。 でもまあ、そこはファンタジーってことで納得するしかないです。だったらしゃべれたら良いのにと思ってしまいますが、しゃべれないことで仲間との絆が深まっている感じがあるので、それも重要な気がします。
のっぺらぼうが同心をしていて、それを周りも普通に受け入れているような世界ですから、事件自体もあやかし絡みが多くて、千太郎の出番も多くなります。彼を慕う下っ引き・伊助や同僚で憎めない性格の片桐と共にスムーズに解決していきます。
2話目の「ばらばら」はなかなかグロい感じでしたが、あまりリアルに状況を想像しなければ何とか読めました。最後まで暗い展開ではなかったですし。
そして3話目の「へのへのもへじ」は何度も笑ってしまう内容。実は彼には驚くことに妻と子がいるんです。どこまで驚かせてくれるんだ!って感じです。その子どもがかわいくて、笑わせてくれました。
「あやかし」と題名にありますし、主人公ものっぺらぼうですし、事件自体もあやかし絡みでゾクッとする部分もありますが、全体的に流れる空気はなぜか柔らかくて温かい。何とも不思議な世界観の物語でした。
続きもあるので、次々読んでいきます。
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