
吉永南央 著
「花ひいらぎの街角 紅雲町珈琲屋こよみ」
(文春文庫)
「小蔵屋」を営むお草のもとに、旧友の初之輔から小包が届く。中身はかつて彼が書いた小説に絵を添えた巻物。お草はその小説を活版印刷の本にしようとして、制作を依頼した印刷会社の個人データ流出事件に巻き込まれ、さらに周囲の人々の<過去>を辿ることに・・。お草さんの想いと行動が心に沁みる一冊。シリーズ第6弾。−裏表紙より−
前作は展開が早くて面白かったのですが、今回はお草さん自身の問題ではないことが多くて、もどかしい気持ちにもなりました。
メインで描かれるのは、旧友の書いた小説を、こっそりと活版印刷の本にしてプレゼントしてあげよう!というお草さんの素敵な企みについてなのですが、それ以外にも色々と。
中でも久実ちゃんの恋愛模様については、うまくいってほしくて「お草さん何とかしてよ〜!」ともどかしい気持ちが出てしまいました。でも私の思いが届くわけもなく、お草さんは人生経験豊富なので、ほとんど口出しすることもなく、ひっそりと応援するにとどまります。
背中を押してあげたら良いのにとも思いますが、背中を押されて付き合ってもそんなにうまくいくとも思えませんね・・。この件は何とも苦い苦しい終わり方になってしまいました。
また、印刷会社の事件にも巻き込まれてしまいます。そこは複雑になってしまって、イマイチわからない展開だったのですが、活版印刷で本を作るって素敵だなというのはよくわかりました。
推理小説なんかだと雰囲気が違うでしょうけど、恋愛小説や時代小説なんかだったら合いそうです。
本の装丁を考えるのも楽しそうです。私自身には文章を書く能力は無いのですが、誰かのために本を作ってあげるというのは楽しそうです。売れ行きを考えないで良いなら楽しそう。
最後には、旧友とお草さんに何か起こるのか?と予想していたのですが、特に何が起こるでもなく、ふんわりと良い感じで話は終わりました。素敵なプレゼントが出来るセンスのあるお草さんは本当にかっこいいですし、あこがれます。
まだ続きがありそうです。文庫になったら読んでいきます。
<紅雲町珈琲屋こよみ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
「名もなき花の」
「糸切り」
「まひるまの星」
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