
椹野道流 著
「時をかける眼鏡 兄弟と運命の杯」
(集英社文庫)
ヴィクトリアの婚礼を終えた遊馬たちだったが、平穏な時は続かず、マーキス島に巨大な嵐が襲来する、マーキス王国は多大な被害を受けてしまう。そんな中、嵐で壊れた城壁から発見された隠し部屋の中にマーキス王国がアングレ王国の支配下にあった頃に多大な財宝を隠したと言われる宰相のミイラが見つかる。復興資金に苦しんでいたロデリック達は宝探しに盛り上がるが、新たな災厄の影が!?−裏表紙より−
7作目になりました。相変わらず、異世界に自然と馴染んでしまっているアスマです。
今回は、ヴィクトリアの嫁いだ国を離れ、元のマーキス王国に戻って来ています。
戻って来たのは良いですが、平穏な日常を取り戻すことなく、今度は嵐に見舞われます。
日本育ちのアスマにとっては、嵐はよく経験することなので、国民たちの被害を少なくするために、城の一部を開放して避難所も作ります。もちろん、アスマの医学の知識を使って、救護室のような物も。
王様のいる国で育っていないと、王様の住む城を開放しようという考えって絶対浮かぶことなのですが、王様を崇めている人たちからすれば、王様と同じ屋根の下に入るだけでもものすごく大変な出来事です。
でも国の中で一番頑丈な建物なんですから使おうよ!というアスマの考えはものすごく合理的で、真っ当です。
国民からすれば、自分の住居の一部を自分たちに開放してくれた〜!と大きな感動と感謝の念に堪えないことになり、ただ余っている場所を提供しただけで、国民からの更なる尊敬を受けることが出来て、一石二鳥です。
嵐は丸一日かけて過ぎ去ったのですが、けが人と病人はたくさん出てしまいます。とはいえ、かなり人数は減らすことができ、「王様ばんざ〜い!」となるわけです。
アスマも、城の人たちも全力で助けて疲れ果てている中、いよいよ一作品に一死体の掟が守られます。
とはいえ、今回は最近の死体ではなく、ミイラ。
身元はすぐにわかりましたし、死因を特定することもなかったので、アスマの大事な役目は、この遺体をどうやって民衆の前に登場させて、どうやって海に還すか?ということでした。
偉大な存在だった彼の遺体をいかに劇的な方法で埋葬するか・・。そのために、ミイラを出来るだけそのままの状態で海まで連れていく必要があったのです。
アスマの持てる知識をつぎ込んで、なんとか大役をこなしていきます。
さ、次はどんな困難が待ち受けているのかな? 謎解きはともかく、この国のことは好きなので、どんどん発展していく様子が読みたいです。
<時をかける眼鏡>
「医学生と、王の死の謎」
「新王と謎の暗殺者」
「眼鏡の帰還と姫王子の結婚」
「王の覚悟と女神の狗」
「華燭の典と妖精の涙」
「王の決意と家臣の初恋」
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