
近藤史恵 著
「スーツケースの半分は」
(祥伝社文庫)
30歳を目前にした真美(まみ)は、フリーマーケットで青いスーツケースに一目惚(ひとめぼ)れし、憧(あこが)れのNYへの一人旅を決意する。出発直前、ある記憶が蘇(よみがえ)り不安に襲われるが、鞄のポケットから見つけた一片のメッセージが背中を押してくれた。やがてその鞄は友人たちに手渡され、世界中を巡るうちに“幸運のスーツケース”と呼ばれるようになり……。人生の新たな一歩にエールを贈る小説集。−裏表紙より−
9話からなる短編集です。1話ずつ独立していますが、少しつながってもいます。
話の主人公になるのは「青いスーツケース」 とはいえ、スーツケースがしゃべるわけでも、意思を持っているわけでもありませんが。 全編を通して出てくるのはこのスーツケースだけなのです。
表紙にも描いてありますが、私はもう少し明るいblueのイメージで読んでいました。夏の空のような。
始めにこのスーツケースに会ったのは、夫に海外旅行を止められて落ち込む女性。フリマで見かけて思わず買ってしまい、それをきっかけにして、友人から勧められた1人旅へ出かけます。
二話目からは、一話目で1人旅をした女性の友人たちがそのスーツケースを借りて旅をする様子が描かれ、後半には海外に住む女性や、最終的にはスーツケースのルーツも描かれています。
スーツケースはいつしか「幸運のスーツケース」と呼ばれるようになり、スーツケースを持って旅する人たちの出会いや、進むべき道の発見や、訣別など、人生の大切な決断を見届けます。
様々な考えや想いを持って旅する人たちが次々と人生を切り拓いていく様子は読んでいてもスッキリしました。
こんな風に有意義な旅が出来るのは素敵だな〜という気持ちにもちょっとさせられました・・・・・が、私は超出不精のインドア派、おうち大好き人間なので、旅に出ることはないだろうとも思います。
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