2019年07月10日

近藤史恵「スティグマータ」

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 近藤史恵 著
 「スティグマータ」
 (新潮文庫)


あの男が戻ってきた。三度の優勝を誇ったもののドーピングで全てを失った、ドミトリー・メネンコが。ざわめきの中、ツール・ド・フランスが開幕。堕ちた英雄を含む集団が動き始める。メネンコの真意。選手を狙う影。密約。暗雲を切り裂くように白石誓は力を込めペダルを踏む。彼は若きエースを勝利に導くことができるのか。ゴールまで一気に駆け抜ける興奮と感動の長篇エンタテインメント。−裏表紙より−


久しぶりにチカの活躍が読める巻ということで、ワクワクしながら読み進めました。

やっぱりチカは良いな〜と読み進む度にかみしめてしまいました。エースでもなく、カッコいい容姿というわけでもなく、人気のある選手でもないのですが、日本人らしい真面目さと内に秘めた感情の豊かさにプラスして、アスリートらしい貪欲さもあって、他人を羨むこともあって、その人間臭さが良いのかもしれません。

フランスにすっかり馴染んでいるチカ。フランス語を操って、チームの仲間にも溶け込んでいます。

以前同じチームでアシストしていたミッコとの関係も良い感じで続いているようで、それも素敵でした。家族ぐるみの関係を外国の人と結べるなんてそれだけで尊敬します。

ヨーロッパをあちこち移動しながら、今回は大きな舞台“ツール・ド・フランス”に参加することになったチカ。チームのエースはニコラです。

以前の作品で、まだ若手選手だったニコラが、すっかりチームのエースとして君臨しているようで、チカとのコンビネーションも良い感じみたいです。


今回の大会では、どのチームが優勝するかというよりも注目を集めていることがありました。それは、ドーピング検査に引っ掛かり引退していたメネンコ選手が戻ってきたということ。彼をエースとして迎えるのチームはどこなのか? 自転車競技の世界を汚した彼のことを選手たちはどう感じて、どのように対応していくのか?気になることがいっぱいです。

それぞれ、彼に対して思うところがあるようで、何か仕掛けるのではないか?といううわさも流れてくるほど。色んな思惑が交差するレースはいつも以上にハラハラさせられました。


また、チカ個人としては、次の契約を結べるかどうかという大変な問題を抱えていて、本人も「このレースが終わるまでは考えないように」と何度も思いつつ、やっぱり他の日本人が契約を取ったと聞くと嫉妬したり、素直に喜べなかったりしています。

チカのアシストとしての走りも相変わらずかっこよくて、周りにすごく気を配れる彼の走りに感動させられました。


またチカの活躍が読みたいです。


<サクリファイスシリーズ>
「サクリファイス」
「エデン」
「サヴァイヴ」
「キアズマ」



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posted by DONA at 14:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:近藤史恵
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