
知野みさき 著
「落ちぬ椿 上絵師 律の似面絵帖」
(光文社文庫)
辻斬りで母を亡くし、上絵師の父も失意のうちに死んだ。律は、幼い弟のためにも、父の跡を継ぎ、布に家紋や絵を描く上絵師としての独り立ちを目指していた。そんな折、馴染みの同心が持ち込んだ似面絵に「私が描く方がまし」と口走り・・。副業として請け始めた似面絵が、様々な事件を解決へと導いてゆく! 恋に仕事に一途な女職人の活躍を描く新シリーズ。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。 読みやすい時代小説でした。コロコロと視点が変わるのが気にはなりましたが。
両親を相次いで亡くした律は、父の跡を継いで上絵師として生きていこうとします。才能もありそうですし、それなりに腕はありそうですが、やはり偉大な父を超えることは難しいようです。この時代“女”というだけでハードルも上がりますから、余計に食べていくのは大変です。
何度もくじけそうになる律を。幼馴染のお香やその兄・涼太、隣人で指南所の師匠でもある今井たちが支えてくれます。特に涼太のことは、昔からあこがれを抱いていて、彼の言動に一喜一憂する律がけなげでかわいかったです。ただ、涼太は大店の跡取り息子なため、身分の違いから想いを告げることが出来ない状態です。涼太も律のことを妹のようにかわいがりつつ、やはり想っているようで、2人は両想いなのですが・・。そんな2人をお香は心配して何かと仲を取り持とうとしています。
律がなかなか上絵師として生計が立てられない中、たまたま同心が持ち込んだ似面絵に口を出し、自ら描いてみせたら次からも頼まれるようになります。それがちょっとした生活のたしになっていくことになりました。
代金をもらうように周りから言ってもらい、少しずつ生活の兆しが見えてきました。似面絵を描くことも本業の練習になっていますし、律の今後が楽しみになりました。もちろん恋の行方も。
シリーズを追いかけることにします。
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