
吉永南央 著
「まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ」
(文春文庫)
紅雲町では山車蔵の移転問題が持ち上がり、お草が営む小蔵屋の敷地が第一候補に。話し合いが必要だが、お草は母の言いつけで「うなぎの小川」とは絶縁状態で、話し合いができない。かつては親友だった女将と亡母の間に、なにがあったのか。紅雲町を歩き回るうち、お草は町全体に関わる重い事実にたどり着く。シリーズ第5弾。−裏表紙より−
5作目になるこのシリーズ。今作が今までで一番展開が激しくて面白かったかも。お草さんも行動的でしたし。ただ、お年寄りですから、無理しすぎてハラハラするところもあったのですが。もっと久実ちゃんに任せても良いのかな?とも思いました。
ちょっと気弱になる場面もあったので、もっと元気なお草さんが読みたかったです。でも話の内容としては面白かったです。
紅雲町の山車蔵を移転しなければならないことになり、古い契約のせいで小蔵屋の敷地が第一候補にされてしまいます。さすがに敷地内に山車蔵が出来てしまったら営業は続けられないので、閉店することになるかも!?という事態に。
お草としては「まあそれも仕方ないか」と諦めの気持ちにもなっていたのですが、久実を始め常連たちからの強い要望もあって、他に候補地はないか?と一通り探ることになりました。
そこで候補に挙がったのが、「うなぎの小川」の向かい側にある工場跡地。そこに移動させたら便利なことも多いと思われたのですが、実は小川の女将と絶縁状態になっているお草が関わっているせいでなかなか移転させられそうにもありません。
誰とでも大抵仲良くやっていけるはずのお草がどうして小川の女将と絶縁状態なのか? そこには亡き母の言いつけがありました。昔は親友だったはずの女将と亡母との間には何があったのか? 亡き母が遺していった女将に渡すはずの着物も引き出しにあるのを見つけて複雑な心境になってしまいます。
普段は慎重なお草さんですが、お母さんのことが絡むと冷静ではいられないようです。心のどこかでは「亡くなった人のことをいつまでも気にしたって仕方ない」と思っているのですが、その相手が母親となると無下にも出来ず・・。
その気持ちはわかりますが、何せ亡くなっているので詳しい事情を聞けなくて大変な苦労を強いられることに。
最後には、一個人ではなく町全体に関わる大きな出来事になってしまいますが、それぞれが反省すべき点は反省して進んでいきそうなので丸く収まって良かったです。
お草さんの元気な姿にもまた会えそうなので、続きを楽しみにしておきます。
<紅雲町珈琲屋こよみ>
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