
知念実希人 著
「優しい死神の飼い方」
(光文社文庫)
犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷・・もとい派遣された死神のレオ。戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていた―。天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
死神が左遷されて、犬の姿にされて現世へ・・まあ犬の姿になるのは珍しいかもしれませんが、死神が何かに憑りついたり、変身したりして人間の世界にやってくるのはよくあるパターンですね。
こういうタイプの話が嫌いじゃないから楽しく読めました。
ただ、話の舞台がホスピスということで、病気の人たちが余生を静かに暮らしている状態の所に死神というのはちょっと・・とは思いました。
暗い話なんだろうと思いつつ読み始めたら、いきなりコミカルな展開と文章。なるほど、だから犬の姿になったんだと納得させられました。
ともすれば暗くなりがちな話を、犬の行動で明るくさせてくれるんです。この死神はレオという名前を付けられかわいがられます。ゴールデンレトリバーということで、多分本当は可愛いのでしょう。
でも、文章はレオ目線で進む上に、本当は死神ということで、どうしてもおじさんっぽい描き方になっていて、私の頭の中ではすっかりおっさんが出来上がっていました。
時々「しゅうくりーむ」を欲しがる様子とかが描かれて「あ、犬だったんだ」と思わされる感じでした。
ホスピスで暮らしている患者たちの悩みをレオが推理して解決していき、安らかな死を迎えさせてあげるわけですが、始めは曲者っぽい人たちも実は良い人だとわかっていくので、感情移入してしまい、いつかは亡くなるのが辛くなっていきました。
最後まで亡くならずにぼんやりと終わってくれると良いと思いつつ、でもそれだとこの話としては終われないとも思えて、辛い辛い、でもある意味ハッピーエンドでもあり、色んな種類の涙が流れてしまいました。
この話はシリーズになっているとか。どうやら次は猫らしい・・どういうことなのか気になったので、手に入れることにしました。
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