2017年10月04日

土橋章宏「引っ越し大名三千里」

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 土橋章宏 著
 「引っ越し大名三千里」
 (ハルキ時代小説文庫)


徳川家康の血を引く譜代大名でありながら、生涯に七度の国替えをさせられ、付いた渾名が「引っ越し大名」という不運の君主・松平直矩。またもや幕府から国替えを命じられたものの、度重なる激務によって亡くなった「引っ越し奉行」の役目を継がされたのは、引きこもり侍と後ろ指を指される若輩者の片桐春之介だった。「人無し・金無し・経験無し」の最悪の状況で、果たして姫路播磨から豊後日田への国替えは成功するのか? 上司からの無茶振りに右往左往する武士たちをコミカルに描き、時代劇に新風を吹き込んだ新鋭が描く傑作時代小説。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

コミカルな時代小説で読みやすい文章でした。

歴史は好きですが、詳しくは無いので、松平直矩という武士が本当にいたのか知りませんでした。読み終わって調べたところ、どうやら実在の人物のようです。しかも本当に「引っ越し大名」と渾名を付けられるくらい、国替えをしていたようです。

今みたいに、引っ越し業者に頼めば、トラックでサラッと運んでくれるなんてこと無いわけで、しかも国替えですから、殿様を始め家臣も全員引っ越さないといけないわけです。

ということは、荷物がどんなにたくさんになることか・・。それを人の手で何日もかけて歩いて運ぶんですから、何人要るやら。大人数になるとそれだけ賃金も必要になり、馬や荷車を使うとそのレンタル料もかかり、それぞれの旅費も考えると頭が痛い状況・・。

そんな大変な国替えを、人生で7回もだなんて! 借金に次ぐ借金になるのは仕方ないことです。


誰もが遠慮したい「引っ越し奉行」という役職に、引きこもりで「かたつむり」と渾名が付けられているのんびりした男・春之介が命じられます。ある種、嫌がらせのような抜擢なのですが、この時代に命じられたことを「嫌です」とは言えないので、仕方なく役目を果たそうとします。

でも、前職が亡くなっているため勝手がわからず右往左往するのは仕方ないことで、そのあたふたする様子がコミカルに描かれていて、何度もクスリとさせられました。

特に、春之介が上役にまで「自分の荷物を減らせ!」と言って、どんどん捨てて行った場面は笑えました。昔も「断捨離」ってあるんだ〜と妙に感心。実は今より切実な悩みでしょうね。偉い人から頂いた刀とか書とか、簡単には捨てられない物が多そうです。


今までさぼってきたツケが回ってきたかのような大変な目にあいつつ、何とか国替えをがんばる春之介の姿に、最後は感動させられました。彼の成長物語として楽しめる作品でした。


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タグ:土橋章宏
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