
小川糸 著
「ツバキ文具店」
(幻冬舎)
ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。−「BOOK」内容紹介より−
初めましての作家さんです。少し前に、テレビドラマ化されたそうで、ドラマが面白かったと聞いたので、本を読んでみました。
祖母から文具店を受け継いだ鳩子。文具店を営みながら、代書屋もやっています。代書屋って本当にある仕事なのかな?よく知りませんが、自筆で手紙を書くことが減ったこの時代だからこそ、必要な職業なのかもしれません。
本の中には、鳩子が書いた手紙も載っています。きちんと彼女が書いた文字のままに。
一人の人が書いたとは思えないくらい色んな文字が書けて、しかもどの字も綺麗で読みやすいので、羨ましくなりました。
ここまできれいじゃなくても良いから、読みやすい字が書ける人になりたかったな・・としみじみ。
前半は、あまりにも何も起こらず、淡々と話が進み過ぎて、気分も乗らない感じでしたが、徐々に面白くなっていきました。
代書を頼むような手紙ですから、普通に季節のあいさつ的な物は少なくて、ラブレターだったり絶縁状だったり変わった物が多いわけです。その内容や文字の美しさ、手紙へのこだわりなんかを読んでいるうちに、どんどん面白くなってきました。
手紙を代書するって、何となく文章は考えてあってそれを本人に代わって書くのだと思っていたのに、実際には文章から考えるんです。そこにまず驚かされました。手紙を出す人と相手の人柄や、どんなことを伝えたいかなど詳しく聞いた上で、文章も考えて書くなんて!
しかも、便せんや封筒、字を書くペン(筆記具)、更には貼る切手にまでこだわって選んで完成させます。
一度書いた手紙は、翌朝まで封をせずに置いておき、冷静な目で読み返してから投函します。
その細かいこだわりに感動しました。
ここまでのこだわりや文章、文字の美しさは、やはり小さい頃の訓練があったからこそのことで、鳩子は本当は子どもらしくしていたかったようですが、努力は報われている気がしました。
感動する手紙や出来事もいくつかあって、泣いてしまう所もありました。
ただ、登場人物たちのあだ名が・・。変なあだ名が多くて、物語の邪魔をしているように感じられたのが残念。良いアクセントだと思えれば良いのでしょうが、私は引っかかってしまいました。
これはまだまだ続編が書けそうですがどうかな? 続きが出たら読んでみたいです。
↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。


タグ:小川糸