
西條奈加 著
「御師弥五郎 お伊勢参り道中記」
(祥伝社文庫)
訳ありの弥五郎は伊勢詣の世話役・御師の手代見習いとして修業中。ある日、侍に襲われる材木商・巽屋清兵衛を助けた縁で、用心棒を兼ねて清兵衛の伊勢参りに同行するはめに。「御師は盗人」と言い放つ変わり者の弥五郎だったが、伊勢を目指す人々と関わるうちに、心境に変化が。そして清兵衛の過去を知った弥五郎は・・。時代小説界の気鋭が描く笑いと涙の道中記。−裏表紙より−
御師という職業があるんですね〜。初めて知りました。
伊勢神宮だけではなく、色々な神社に属しているようです。「おし」というのですが、伊勢神宮だけは「おんし」というらしいです。
神社に属していて、その神社に参拝する人をもてなし、宿泊などの世話もするのが仕事です。
この物語の主人公・弥五郎は、そんな御師の見習いとして働いていながら、なぜか御師という職業に嫌悪感を示しているという変わった人物です。
神社を参りたいという信心深い人から金を取るわけですから、見ようによっては「金に汚い職業」に見えなくもないですけど・・。
特に昔は伊勢参りなんて夢の話で、一生に一度行けたら良い方で、ほとんどの人は行かずに終わるわけですから、その夢見る気持ちを踏みにじるように思えなくもない?
でも読み進めると、御師たちの心配りは素晴らしいですし、顔の広さに救われることも多くて、この時代には大事な必要な職業なんだということがわかりました。
弥五郎も、少しずつ考えが変わっていきます。
彼は腕にも覚えがあるので、用心棒も兼ねて旅をします。依頼主には秘密があるようで、それも気になりつつ読み進めるうちに、気づけば終わっていたという感じです。
ハラハラする展開もあり、ちょっとホロリともさせられ、クスっと笑う所もあり、なかなか楽しい話でした。
もう少し盛り上がりがあっても良かったのかな?とも思いますが、これはこれで良かったのかもしれません。
シリーズ化して、続編も書いてもらいたいと思う作品でした。
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