
二宮敦人 著
「一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常」
(幻冬舎文庫)
郊外を走る蛍川鉄道の藤乃沢駅。若き鉄道員・夏目壮太の日常は、重大な忘れ物や幽霊の噂などで目まぐるしい。半人前だが冷静沈着な壮太は、個性的な同僚たちと次々にトラブルを解決。そんなある日、大雪で車両が孤立。老人や病人も乗せた車内は冷蔵庫のように冷えていく。駅員たちは、雪の中に飛び出すが―。必ず涙する、感動の鉄道員ミステリ。−裏表紙より−
「亜矢子の忘れ物」「清江と化けて出たダーリン」「俊平と、立派な髭の駅長」の3編と、その間間に「俊平の憂鬱」という話が一から三まで書かれています。
この作品は、シリーズ2作目から読んでしまったのですが、それでも違和感なく読むことができました。1作目から読んだ方が、駅長についても謎が深まって面白かっただろうとは思いますが。
2作目よりも1作目の方が、鉄道員たちの熱量が強くて「良いね〜、熱いね〜」と感心させられました。
「清江と化けて出たダーリン」は、ちょっと情けない感じでしたが、それ以外の話では仕事に一生懸命な様子と、鉄道の仕事に誇りを持っている様子がとてもかっこよく思えました。
仕事に対してここまで情熱を注ぐことが出来るなんて本当に素敵ですし、羨ましいです・・。
最終話は特に、普段やる気ない感じで仕事をしているように感じる人さえも、いざという時の行動力はすさまじくて、圧倒されました。
最後まで読むと、短編の間に挟まっている話がうまく絡んで来て、全てがすっきり解決する感じも面白かったです。
夏目壮太が主人公で、彼の鋭い観察眼で謎解きが行われるわけですが、その部分はそれほど大事ではなく、鉄道の裏側が垣間見えたり、駅長の様子が笑えたり、鉄道員たちの仕事ぶりに感動したり、という辺りがこのシリーズの醍醐味だと思います。
こういう特殊な仕事の裏側なんかに興味がある人にお勧めの作品です。
3作目は書かれるのかな?楽しみに待ちます。
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